キャリアの広場は、キャリア教育の様々な情報を送り届ける情報メディアサイトです。お気軽にご活用ください。

続・コロナショック下の大卒求人倍率を考える

4か月遅れの「大卒求人倍率」発表を受けて

2020/08/28  タグ:  

角方正幸(「キャリアの広場」責任者/____
リアセックキャリア総合研究所所長)

8月6日、2021年卒の大卒求人倍率が発表された(株式会社リクルート)。例年4月下旬に発表されていたものだが、今回の新型コロナ問題で大幅に遅れ、約4か月遅れての公表である。
結果は、リクルートワークス研究所のリリース見出しのとおり、

【大卒求人倍率1.83倍(20年卒)→1.72倍(21年卒2月)→1.53倍(21年卒6月)】
―コロナによる落ち込みも、1.53倍を維持―

というものであった。私が5月の当サイト記事「コロナショック下の大卒求人倍率を考える」で予想した倍率(0.81程度)を大幅に上回っていた。

今回の発表では、調査時点が異なる2時点の倍率が敢えて発表されている。というのも、新型コロナウイルスが感染拡大した時期が問題で、多くの企業が今年の採用計画を立てた後で「コロナショック」が生じたからだ。昨今は、前年夏のインターンシップ時期から翌年の採用計画がスタートしていて、多くの企業では、すでに21年卒の採用計画の終盤に達していた。
例年の時期(2020年2月)の調査によった場合、大卒求人倍率は1.72倍で、すでに前年より0.11ポイント下がった水準だった。そして、4か月後の時点(6月)で1.53倍と、さらに0.19ポイント低下した。これを求人総数で見ると、2019年2月の調査時点(2020年卒の大卒求人倍率)では80.5万人だった大卒求人数が、2020年の2月では74.3万人へ、そして新型コロナの影響を受けて6月には68.3万人へと減少が続いてきたことになる。

新型コロナ不況と大卒採用は?

新型コロナの採用計画への影響はまだ完全には見通せず、現在進行形と考えてよいだろう。そこで、過去の大不況と大卒採用との関係を見ておきたい。

大卒求人数は、2019年2月から2020年6月にかけて12.2万人の減少に留まっているが、1年後に元の水準に戻っているとは考えられない。今までの大不況を見ると、大卒求人数が増加に転じるまでにはバブル崩壊、リーマンショックともに5年を要している。新型コロナ問題の終息が見通せない中、今回も大卒採用数が再び増加傾向を示すにはそれなりの年数がかかることを覚悟すべきである。

新たな社会環境下で働き手に求められる能力

ウィズコロナ、アフターコロナといわれる新たな社会環境のなか、テレワークやオンラインショッピングが急速に拡大し、世界的にデジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)が一気に加速する様相を呈している。そして、それに伴って企業の生産活動のあり方や働き手に求められる能力も、大きな変化が予想される。
このような環境下、大学は社会とのつながり、つまり「学ぶと働くをつなぐ」ためにどのようなことに注意すべきか、繰り返しになるが以下の3点をその指針として示す。

1. 卒業後3年は継続的に就職支援

2. 学生の働く意欲/能力を高める工夫

___-学生に対するきめ細かな対応-
___-ジェネリックスキルの育成-
また、学生の意欲/能力を高める教育手段を工夫するにあたっては、従来とは異なる、オンライン授業やリモートでの活動を想定しなければならない。
___

教育のデジタル化は、ハード面ではこれを機に一気に進むと考えられるが、合わせて学修成果の質や効率など、ソフト面での新たな課題が生じている。

3. 危機対応にはトップダウンのリーダーシップ

___-教学とキャリアセンターの連携強化-

今回の新型コロナ不況はまだ始まったばかりで、その影響が各所に及んでいくのはこれからである。また現状ではいつ新型コロナが終息するかも見通せていない。したがって、当面は厳しい就職環境が続くものと覚悟しての対応が望まれる。

コロナ禍対策共有プロジェクト

セミナー・公開研究会情報

近日開催予定のセミナー・公開研究会情報がございません。

学ぶと働くをつなぐキャリア関連ニュースなど、当サイト最新情報を無料のメールマガジンにてご確認いただくことが可能です。



閉じる