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3年間の「産業界のニーズ~」事業を振り返って

‘広域・多数大学間連携事業’の成果

2015/02/16  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

「大学生の就業力育成支援事業」の後継事業として2012年度に始まった「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」は、本年(2015年)3月で終了となる。
当初は、広域エリアで20校前後が連携する方式への戸惑いや疑問が先に立った。教育改革や産学連携は、もとより各大学が独自で進めていて、そのスピードや内容は大学の置かれた環境によって異なっているからだ。しかし実際には、‘広域・多数大学間連携事業’という仕組みのもとで、共通の目標を掲げ、同じテーブルについて議論してみた結果、3年間で得られた成果は少なくない。

具体的に大きな成果として2つの代表例をあげておきたい。

① 首都圏エリア(幹事校:青山学院大学)「インターンシップ スタンプラリー」

テーマ4「産業界との連携による人材育成プログラムの開発」(オーガナイザー大学:法政大学)

連携大学の学部生・大学院生が参加でき、企業の1日インターンシップを3社以上体験して「スタンプ」を集めると修了証が得られる。
「インターンシップスタンプラリー」を実施――「産業界のニーズ~」事業、首都圏グループ

複数大学が協働するインターンシップは、1校で企画運営するものよりも教育効果が大きい。特に、インターンシップ先で他校の学生と交わる機会をつくることが重要で、学生の気付きや成長につながる(私が神奈川県で2011年度に実施した3大学共同のインターンシップ事業でも同様の成果が見られていた)。また、複数の大学の連携により、1校では企画できない、いろいろなタイプのインターンシップメニューが可能となることも多い。企業との相談・運営窓口が一本化されれば、受入れ企業の負担も軽減される。
首都圏エリアではこの他にも、「企画販売・催事販売型共働実習」(企業や商店街の協力により、出資~会社設立~株主総会~仕入・販売~決算までのビジネスプロセスを体験)、「産学連携ビジネスコンテスト」(チームごとに商品企画・開発の提案を行う)などを実施している。
いずれも、学生・大学・企業の3者にメリットのある仕組みとなっており、インターンシップの高度化に向けて大学間連携が極めて有効なことが示されている。

② 中部エリア(幹事校:三重大学)「アクティブラーニング失敗事例ハンドブック」

東海Aチーム「アクティブラーニングを活用した教育力強化」(副幹事校:名古屋商科大学)

インターンシップやアクティブラーニングがうまくいかないのはなぜか、参加23大学から集めた失敗事例を基に、失敗学の手法を取り入れて分析・議論を重ね、「失敗マンダラ」を作成。
「アクティブラーニング失敗事例ハンドブック」を公開――「産業界のニーズ~」事業中部地域ブロック東海Aチーム

事例の収集は、1校のみでは量的にも質的にも限界があるが、23大学のいろいろな事例が集められたことにより、「失敗マンダラ」の作成に成功。多くの知見が得られ、うまくいかない課題にどうやってチャレンジしていくかを「アクティブラーニング失敗事例ハンドブック」の形で全体共有することができた。
中部エリアではこの他にも失敗学の手法を広く取り入れており、第36回大学教育学会においてラウンドテーブル「失敗学から学ぶ大学教育改革」を企画運営し、取組の過程と成果を広く内外に発信した。東海Bチーム「地域・産業界との連携力強化への取り組み」(副幹事校:名古屋産業大学)ではインターンシップ事例調査やインターンシップ失敗事例ワークショップを実施した。

事業終了後に向けて

事業終了年度末が近づき、各エリアとも最終報告書のとりまとめにかかっていることであろう。この3年間で得た連携の成果や改革の灯を消すことなく、ぜひ今後の教育改革につなげていただきたい。

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