リスキリング施策を形骸化させない!
「学び」の質を高めるキャリア自律の視点
更新日:2025年7月17日
【ダウンロード無料】PROG白書2024 調査レポート
企業で働く全国4,000人を対象に「企業人の仕事・能力・学び」と「働き方志向」の関係を調査!
「リスキリング」は、現代のビジネス環境において企業の競争力を維持・向上させるための重要な戦略です。DX化の進展や技術革新の加速により、従業員には常に新しいスキルや知識の習得が求められています。多くの企業が多額の投資を行い、リスキリングプログラムを導入していますが、期待したほどの成果が得られないという声も少なくありません。
例えば、
「リスキリング講座を開講しても受講者が増えず参加率が低い」
「e-ラーニングを導入しても活用されていない」
「何を学べばいいのか、社員が理解していない」
「講座やe-ラーニングの受講者が途中で離脱してしまう」
「実際の業務でのスキル活用が進まない」
「リスキリング投資に対する明確な効果が見えにくい」
といった課題が挙げられます。
これらの課題の根底には、従業員の「なぜ、このスキルを学ぶ必要があるのか」という学習の動機づけが不足しているケースが多く見られます。企業が一方的にリスキリングの必要性を説くだけでは、従業員の主体的な学びは生まれにくいのです。
今回の記事では、従業員の主体的な学びの動機を促し、リスキリング施策の効果性を高める工夫についてご紹介します。
従業員のリスキリングを成功させるには、内発的な動機づけを促し、自律的な学習行動を引き出すことが不可欠です。
リアセックキャリア総合研究所では、2024年に「企業人の仕事・能力・学び」と「働き方志向」の相互の関係を明らかにすることを目的とし、企業で働く全国4,000人への調査を実施いたしました(PROG白書2024)。本調査によると、「自主的な学び」をする人材はキャリア自律度が高く、従業員のキャリア自律にはコンピテンシーが影響しているということがわかりました。また、コンピテンシーの高さも直接「自主的な学び」に影響を与えることがわかっています。
コンピテンシーとは、仕事において高いパフォーマンスを発揮する人材に共通して見られる行動特性のことです。例えば、単に知識があるだけでなく、「困難な課題に粘り強く取り組む課題解決能力」「指示を待たずに自ら行動を起こす主体性」「多様な人々と協力して目標達成を目指す対人関係能力」などがコンピテンシーに含まれます。
コンピテンシーは、「意識」「行動化(習慣化)」「言語化」「フィードバック」という経験学習サイクルを経ることでを高めることができるもので、コンピテンシーを高めていこうとすること自体も学びの動機につながります。
このようにコンピテンシーはさまざまな形で「自主的な学び」に影響を与えていく要素となっています。
また、キャリア自律度が高い従業員は、自身のキャリアを主体的にとらえ、将来の目標達成のためにどのようなスキルが必要かを自ら考え、そのためにの学びの機会を創出しようとします。
このことからキャリア自律度が高さは自主的な学びに影響を与えるのではないかと考えられます。
出所:PROG白書2024 ジョブ型雇用への処方箋:企業人4000人の働き方志向・仕事能力・学び行動調査
リアセックキャリア総合研究所, 2024.6
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では、どのようにしてキャリア自律度を高め、自主的な学びへの動機付けを行っていけばよいのでしょうか。その第一歩となるのが「自己理解」です。
厚生労働省は、キャリアを形成するステップとして「自己理解」「しごと理解」「啓発的経験」「意思決定」「方策の実行」「新たな環境への適応」という「キャリア形成の 6 つのステップ」を発表しており、まずはじめに自身の興味・関心・価値観・能力・適性等の理解を深める「自己理解」を置いています。
キャリア形成の6つのステップ
出所:厚生労働省 リアセックにて編集
自身の強みや課題、興味関心、価値観などを深く理解することで、従業員は自身のキャリアパスをより明確に描き、どのようなスキルを身につけるべきか、何を目指して学ぶべきかを主体的に考えられるようになります。
たとえば、「この分野は自分の強みだから、さらに伸ばして専門性を高めたい」「この分野は苦手意識があるが、習得できればもっと仕事の幅が広がる」といった期待感が、具体的な学びの動機付けになります。また、「自己理解」「しごと理解」と進めていき、キャリアに対する「意思決定」や「方策の実行」を具体的に検討していくステップになると、やりたいことと自身の能力のギャップに気がつくケースがあり、ここでも学びの動機は発生します。
自身の現状を客観的に把握し、課題と可能性を認識することで、学びへの強い動機づけと具体的な方向性が定まり、学習意欲が飛躍的に向上します。自身の現状を把握することで、学ぶべき方向性が定まり、学習意欲が向上するのです。
ここで、従業員の自己理解促進に活用できるキャリアアセスメントツール「PROG@Work(プログアットワーク)」についてご紹介します。
PROG@Workとは Progress Report On Generic skills
どの仕事にも共通する成果をあげるために活用している “基礎力” を測定できるアセスメントツールです。
この基礎力は、性格傾向などの変化しづらい特性とは異なり、意識や行動変容によって可変するスキルで、リテラシーとコンピテンシーに区分しています。PROG@Workでは基礎力を科学的根拠に基づいた手法で客観的に測定することで、部下の基礎力の現状を把握することができ、今後の能力開発・キャリア開発に向けた支援材料として活用することができます。
▼PROG@Work 個人結果報告書サンプル
◎受験結果から、自身の強みや課題を把握/今後の成長目標とそのための計画立案に活用
PROG@Workを活用したキャリア自律支援の具体的な流れ
例えば、以下のようにPROG@Workをリスキリングプログラムに組み込むことで、従業員の学びの動機づけを大きく向上させることが可能です。
1.リスキリング導入時の自己分析
プログラム開始前にPROG@Workを実施します。従業員は自身のコンピテンシー特性や傾向を把握し、これから習得したいスキルが自身のキャリア目標や将来像とどのように結びつくかを考える機会を得ます。
2.個別フィードバック面談の実施
測定結果をもとに、上司や社内外のキャリアコンサルタントとの個別面談を実施します。従業員は、自身の強みを活かせるリスキリングテーマや、克服すべきコンピテンシー上の課題を明確にできます。
3.目標設定と学習計画の策定
自己理解とフィードバックを踏まえ、従業員自身が具体的なリスキリング目標と学習計画を立案します。これにより、「会社に言われたからやる」という「やらされ感」ではなく、「自分で決めた」という主体性が生まれ、学習へのコミットメントが高まります。
4.進捗確認と定期的な振り返り
学習の進捗状況を定期的に確認し、必要に応じてPROG@Workの再受験や、目標達成度合いの確認を行います。自身の成長を客観的に実感することで、さらなる学習意欲向上に繋がります。
このように、PROG@Workをキャリア自律支援の起点にすることで、従業員は「なぜ学ぶのか」という問いに対する自分なりの明確な答えを見つけ、能動的にリスキリングに取り組むといった行動変容が期待できます。
リスキリングを施策導入で終わらせず、真に企業の成長と個人のキャリア発展に繋げるためには、従業員が自身のキャリアを自律的に考え、主体的に学びに取り組む動機を育むことが不可欠です。
そのためには、まず自己理解を深める機会を提供し、自身の強みや成長ポイント、そしてキャリア目標を認識させることが重要です。PROG@Workのようなアセスメントツールを活用し、キャリア自律意識を醸成することで、従業員全体のリスキリングが加速し、結果として企業の競争力向上にも大きく貢献するでしょう。
この機会に、ぜひ貴社のリスキリング戦略にキャリア自律支援の視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【ダウンロード無料】PROG白書2024 調査レポート 企業で働く全国4,000人を対象に「企業人の仕事・能力・学び」と「働き方志向」の関係を調査! コンピテンシーとキャリア自律、学習行動の関係性について、より詳細な分析結果が掲載されています。 リスキリングの成果を高めるヒントが満載ですので、ぜひこの機会にダウンロードください!
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