「褒める」が苦手な上司のための1on1術
「変化」を軸にした、部下の心に届くフィードバック
更新日:2026年2月4日
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1on1という文化が浸透する一方で、多くの上司が密かに抱えている悩みがあります。
それは「部下をどう褒めていいかわからない」という不安や、「褒めているつもりなのに、相手の反応が芳しくない」というもどかしさです。
「お世辞を言っていると思われたくない」「自分自身、褒められて伸びた経験が少ないため具体的なイメージが湧かない」といった思いから、適切な声掛けのあり方に慎重になっている方も多いのではないでしょうか。部下への配慮を大切にする上司ほど、言葉選びを模索するうちに、結局は進捗確認や業務報告に会話が終始してしまうという傾向も見受けられます。
しかし、1on1の本来の目的は、単に部下のモチベーションを上げることだけではなく、部下が自律的に成長し、成果を出せる状態を作ることにあります。そのためには、情緒的な「称賛」を無理に送るのではなく、事実に基づいた論理的で納得感のある「フィードバック」が必要です。
本記事では、褒めるのが苦手な上司でも今日から実践できる、部下の「変化」に着目したフィードバックの技術を解説します。
多くの上司が陥る「空回りの罠」には共通点があります。
1. 抽象的すぎて「自分を見ていない」と思われる
「最近頑張ってるね」「いい感じだね」。一見ポジティブな言葉ですが、言われた側は「私の何を見てそう言っているのだろう?」と疑問を抱きます。抽象的な言葉は、具体的に何が良かったのかがわからず、不満や不信につながる懸念があります。
2. 「結果」だけを評価対象にしている
目標を達成したときだけ褒める、というのは効果的ではありません。結果が出ている時は良いのですが、結果が出ていない苦しい時期にこそ1on1の真価が問われます。結果にしか触れないフィードバックを繰り返すと、「過程の頑張りを見てもらえていない」という心理的な距離感が生まれ、部下との信頼関係の構築がしづらくなってしまいます。
3. 上司の基準を当てはめる
「俺が若手の頃はこうだったから、君の今の動きは素晴らしい」といった、自分の価値観を尺度にした褒め方は、世代の異なる部下の価値観とズレが生じやすく、納得感が得られにくい場合があります。
では、部下の心にグッとくる伝え方とはどのようなものでしょうか。それは、部下が自分でも気づいていない「成長の軌跡」を、第三者の視点から言語化してあげることです。
1on1で重要なのは、今の状態を評価する(点)ことではなく、過去から現在にかけてどう変わったか(線)を指摘することです。
例えば、資料作成が丁寧になった部下に対して:
このように「以前のあなた」と「今のあなた」を比較して伝える「個人内評価」が有効です。自分自身の変化を第三者から伝えてもらうことで、確かな成長実感を感じることができ、エンゲージメントの向上につながります。
部下の変化が見つからない時は、以下の3つのレンズで観察してみてください。
これらの些細な変化を拾い上げ、「私は君のその変化に気づいているよ」と伝える。これだけで、「自分を見てくれている」という実感が部下に芽生えます。
フィードバックを伝える際、上司の「感情」を乗せすぎる必要はありません。むしろ、客観的な事実(Fact)を淡々と伝える方が、部下には響きます。
「会議でのプレゼン、良かったよ」と言う代わりに、「質疑応答のとき、相手の質問を最後まで聞ききってから、結論を先に述べていたね」と伝えます。事実は否定しようがないため、部下の納得感は100%になります。
事実を伝えたら、それが周囲や業務にどんな良い影響を与えたかを付け加えます。「おかげで会議が15分早く終わったし、クライアントも安心した表情をしていたよ」といった具合です。
最後に、その変化をどう伸ばしていくかを本人に問いかけます。「そのコミュニケーションの取り方、他の案件でも応用できそうかな?」と聞くことで、褒められた体験が「学び」として定着します。
ここまで、変化に着目したフィードバックの重要性を述べてきました。しかし、一つだけ大きな課題が残ります。それは「上司の観察力には限界がある」ということです。
部下が増えれば一人ひとりを細かく見続けることは難しくなり、「変化をどう表現すればいいか、適切な言葉が見つからない」「部下一人ひとりの強みの活かし方について考えるのが難しい」というもどかしさを感じることもあるでしょう。
そんな時、上司の「眼」を補強し、1on1などの部下との対話をより納得感あるものにするために、キャリアアセスメント「PROG(プログ)」のような客観的指標を活用するのも一つの有効な手段です。
●なぜ、共通言語が必要なのか
PROG(プログ)は、社会で求められる汎用的な能力(問題解決力や行動特性)を可視化するアセスメントです。これを1on1に取り入れることで、以下のような変化が起こります。
「褒める」という行為を、上司の主観で行うのではなく、客観的な指標を基にした「共通言語」の上で行うことで、部下との信頼関係はより強固なものへと変わっていきます。
1on1では、部下に「今の自分ならもっとできる」と思わせることが重要です。 あなたが部下の小さな変化に気づき、それを言葉にして伝え続けること。そして時には、客観的なデータを活用してその成長を裏付けてあげること。その積み重ねが、部下の自己効力感を育みます。
今日から、部下の「昨日との違い」を一つだけ見つけることから始めてみませんか? その小さな観察が、チームの空気を劇的に変える第一歩になるはずです。
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