コラム・お役立ち情報
新人の成長意欲を高めるアプローチとは?
客観的な“自己理解”がポイント
更新日:2025年5月21日
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新入社員が主体的に仕事に取り組むうえで鍵となるのが、自分は成長できそうだという「成長予感」、自分は成長し続けられる・この先も社会で価値を発揮できるという「キャリア安全性」です。これらがあるかどうかで、業務への関わり方やモチベーション、行動の質は大きく変わります。しかし、これらの感覚はただ与えられるものではなく、新人自身が「今の自分をしっかりと捉え、これからどう成長していけるか、どう成長していきたいか」という自己理解ができてはじめて生まれる感覚です。
本記事では、新人の成長意欲や成長実感を高めるうえで重要となる客観的な自己理解の意義と、先輩・上司といった新人育成にかかわる方の支援のあり方について考え、新しいアプローチについてご紹介します。
しかし、この最初のステップである「自己理解・現状把握」の段階でつまずいてしまう新人が少なくありません。ここが不十分なままでは、次に続く目標設定・行動計画が曖昧になり、結果として成長を実感しにくくなります。
では、なぜ新人は「自己理解・現状把握」でつまずいてしまうのでしょうか。その主な要因は以下の3つです。
1. 自己評価の軸がなく、何を基準に見ればよいかわからない
新人にとっては、「何ができれば評価されるのか」「どういう行動が“良い”のか」といった基準そのものが曖昧です。評価経験が浅いため、自分の現在地をどのように測ればよいのかがわからず、「できていないかもしれない」「自信がない」といった漠然とした不安に陥りやすくなります。
2. フィードバックが断片的で、自分の全体像がつかめない
職場では上司や先輩からのフィードバックがあっても、それは場面ごと、業務ごとの限定的な内容であることが多く、「自分は何が得意で、何が苦手なのか」といった包括的な理解にはつながりにくいのが実情です。断片的な評価では、自分の傾向や伸びしろを把握することが難しく、自己認識が曖昧なままとなります。
3. 主観に頼りがちで、冷静に自分を見ることが難しい
新入社員は、成功体験も失敗体験もまだ少ないため、自己評価が感情や印象に左右されやすい傾向があります。たとえば「今日の会議で発言できなかった=自分はダメだ」といった極端な自己否定につながったり、「忙しく頑張っている=成長している」と安易に満足してしまったりと、主観的な思い込みにとらわれやすくなります。
こうした理由から、新人が自分の「現状」を適切に把握することは想像以上に難しく、ここでのつまずきがその後の育成プロセス全体に影響を及ぼします。だからこそ、「客観的な視点で自己を把握できる支援」が求められているのです。
では、新人に客観的な自己理解をしてもらうための支援としては、どのような方法があるでしょか。
まず、よく用いられる方法としては、新人に対するフィードバックです。その手法として以下の方法があります。
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“育てる1on1”を現場に根づかせるには?部下も学ぶことが解決のヒント
部下が育つ1on1 ─ ネタに困らず、能力開発につなげる対話のコツ
■360°フィードバック
上司、同僚、先輩など、複数の関係者から匿名形式でフィードバックを収集し、自分のスキルや行動特性を多面的に把握する手法です。
主に管理職向けに実施することが多い施策ですが、近年では新人・若手向けにも実施するケースが増えてきています。自身の自己評価と他者評価とのギャップを発見するきっかけになり、自分では意識していなかった行動が、周囲から見てどう受け取られているのかに気づくことで、自己認識の精度が高まります。
さらに、より客観的に自身の現状を定量化し把握するための手段として、アセスメントツールを活用した方法もあります。
新入社員の客観的な自己理解を促進するためのアセスメントツールの活用についてご紹介します。
アセスメント(assessment)とは、対象となる人や物事を評価・分析し、現状をありのままに把握することです。アセスメントツールは人材マネジメントの領域でも用いられており、個人の能力や適性を測定し、適切な配置や育成等に活用されています。
アセスメントツールを新入社員の自己理解に活用するメリットとして、以下の2点が挙げられます。
●主観的なバイアスを排除できる(評価の客観性)
1on1や360°フィードバックは、評価者(上司・同僚・部下)の主観や人間関係、経験、印象によって内容が左右されやすいです。標準化された尺度を用いたアセスメント(フォーマルアセスメント)を活用することで、個人の特性や能力を一定の物差しで測ることができます。他者との関係性や立ち位置に影響されず、客観的に把握するのに有効です。
●定量的に自身のスキルを可視化できる
アセスメントツールの大きな特徴として、自己の特性や能力を定量的な数値として把握できる点が挙げられます。定量化することで、自分の成長や強みを明確に実感することができ、特に自信や成長実感を得づらい新人期において、客観的な数値で自身の強みや変化を捉えられることは、自己効力感の向上につながります。
また、新人の自己理解に活用する上で、以下の条件を満たすアセスメントテストを選定することがポイントです。
(1)仕事における行動や能力に直結した指標を測定できる
自己理解を「仕事での行動改善」や「能力開発」につなげるため、単なる性格傾向ではなく、「ビジネススキル」や「社会人基礎力」に基づいた設計のもの
(2)成長の方向性やアクションのヒントが得られる
測定結果を自己理解で終わらせず成長の出発点にするため、現状の理解だけでなく、「今後どうすればよいか」の指針や結果の解説・アドバイスなどが記載されているもの
(3)継続的に測定し、成長をトラッキングできる
一度きりの測定ではなく成長実感の材料として使うため、蓄積・比較がしやすく、個人の成長を可視化できるもの
(4)本人にとって“納得感”や“信頼感”がある
結果を納得感をもって「自分ごと」として受け止めるため、学術的・統計的な裏付け(信頼性・妥当性の担保)があり、多面的な理解を促す構成(例:強みと課題両面の提示)があること
上記を満たすアセスメントを活用することで、新人の成長に直結する自己理解を深めることができます。
ここでは、弊社が提供する「PROG@Work」の特徴に触れながらアセスメントを活用して自己理解を深める方法について具体的に触れていきます。
PROG@Workとは Progress Report On Generic skills
どの仕事にも共通する成果をあげるために活用している”基礎力”を測定できるアセスメントツールです。
この基礎力は、性格傾向などの変化しづらい特性とは異なり、意識や行動変容によって可変するスキルで、リテラシーとコンピテンシーに区分しています。PROG@Workでは基礎力を科学的根拠に基づいた手法で客観的に測定することで、部下の基礎力の現状を把握することができ、今後の能力開発・キャリア開発に向けた支援材料として活用することができます。
PROG@Workを自己理解・能力開発に活用する方法
(1)受験結果から、「強み」「課題」を把握
PROG@Workでは、リテラシーとコンピテンシーを測定することで、個人の行動特性を客観的に可視化します。診断結果をもとに、「自分がどのような場面で力を発揮しやすいのか(強み)」「どのような状況で苦手を感じやすいのか(課題)」といった自己傾向を把握することができます。また、世の中の社会人データとの比較で、自身の能力の立ち位置を把握することも可能です。
(2)普段の仕事が、「強み(発揮能力)」とどうつながっているかを理解する
診断結果を仕事の場面と照らし合わせてみることで、「なぜこの仕事にやりがいを感じるのか」「なぜ特定の業務で負担感が大きいのか」といった要因が言語化できます。これにより、日々の業務の中で自分の強みがどのように活かされているのか、あるいは発揮できていないのかを再認識し、自己効力感の向上や役割意識の醸成につながります。
(3)自らが伸ばしたい能力を定め、仕事の中でできる行動計画を立てる
結果を踏まえて、「これからの自分に必要な力は何か」「そのためにどんな行動を意識すべきか」を明確にします。例えば、「他者の意見を受け止める力を伸ばしたい」と感じた場合は、日常の会議で発言を促す、上司・同僚への質問を増やす、といった具体的なアクションを設定します。こうした行動計画があることで、成長目標が現場での実践に結びつきます。
(4)定期的に行動計画を見直したり、フィードバックをもらったりする機会をつくる
成長実感を得るには、継続的な振り返りと第三者からのフィードバックが欠かせません。1on1や上司との面談の中で、行動計画の実践状況を共有し、助言をもらうことで、改善点や新たな気づきが得られます。また、一定期間後に再受験を行うことで、能力の変化を定量的に確認することも可能です。これにより、自律的な成長サイクルの定着を支援できます。
▼個人結果報告書
・本人スコア:リテラシー・コンピテンシーを7段階で得点表記
・比較グループ平均:受験者と比較設定する汎用的な組織内職位(キャリアステージ)の平均得点
▼成長支援ハンドブック「PROGの強化書」
・強みの力の定義・強みの力を持っている人の特徴:強みの発揮・強化に役立つ
・課題の力の定義・能力UPのための方法:伸ばしたい力の伸ばし方がわかり、能力開発に役立つ
PROG@Workを自己理解に活用するメリット
(1)仕事における行動や能力に直結した指標を測定できる
PROG@Workは、文部科学省が提唱する「社会人基礎力」をベースに設計されています。これらは性格傾向やタイプ診断とは異なり、職場での具体的な行動や業務遂行能力と直結しており、本人が「今の自分の働き方」にリアリティを持って向き合える構成となっています。
(2) 成長の方向性やアクションのヒントが得られる
測定結果のスコアだけでなく、成長支援ハンドブックにて各能力に対する具体的なレベル定義や能力が高い方の行動特徴、能力アップのための行動例などが記載されており、「どの能力をどう伸ばせばよいのか」が具体的に把握できます。また、世の中の社会人データとの比較で、自身の客観的な立ち位置を把握することも可能です。
(3)継続的に測定し、成長をトラッキングできる
入社時・半年後・1年後など、任意のタイミングで再受験することで、スコアの変化(能力成長)を客観的に追跡できます。また、組織としてデータを蓄積すれば、年度ごとの新入社員全体の傾向把握や研修効果の検証にも活用できるため、戦略的な人材育成ツールとしても優れています。
(4)本人にとって“納得感”や“信頼感”がある
PROG@Workは、信頼性・妥当性が認められた客観測定を採用しており、科学的根拠に基づいた設計となっています。また、強み・課題の両面を把握することができ、成長のための自己理解を深めることが可能です。
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新人が仕事に前向きに取り組み、成長に手応えを感じながらキャリアを築いていくためには、自分自身の現状を客観的に理解し、そこからどのように成長していくかの方向性を持つことが欠かせません。しかし、多くの新人は「自分の強みや課題がわからない」「何を基準に成長すればよいか見えない」といった壁に直面しがちです。こうした課題を乗り越えるには、感覚や印象に頼らない“客観的な自己理解”を支援する仕組みが必要です。
新人の主体的な成長を促し、キャリア意識を高めていくために、まずは「自分自身をどう理解するか」という土台作りから見直してみませんか?