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“育てる1on1”を現場に根づかせるには?
部下も学ぶことが解決のヒント
更新日:2025年5月9日
人材育成の重要施策として、1on1ミーティングの導入を進める企業様が増えてきました。しかし、せっかく導入した1on1が、単なる業務の進捗確認や雑談で終わっていないでしょうか?1on1を実施する際には上司側がどのように1on1を設計するのかが重要ではあるものの、部下が育つ1on1を実現するためには「部下自身」にも対話の主体となる姿勢が求められます。
本記事では、人事の立場で現場の1on1をどう支援できるか、部下の主体性や学びを促すアプローチに焦点をあててご紹介します。
こうした成長支援としての1on1が注目される背景には、「エンゲージメントの向上が組織の業績向上につながる」という認識の高まりがあります。1on1を通じて部下の学びや成長を促すことでエンゲージメントが高まり、結果として職場全体の生産性や成果にも好影響を及ぼします。
また、弊社キャリア総合研究所で実施した企業人4000名を対象とした以下の調査データから、従業員のエンゲージメントには「周囲のサポート」「心理的安全性」を含む「職場環境の良さ」、そして「この会社で/この仕事を通して成長できそう」といった「成長予感」などの要素が影響するということがわかりました。
出典)PROG白書2024 ジョブ型雇用への処方箋:企業人4000人の働き方志向・仕事能力・学び行動調査/リアセック キャリア総合研究所,2024
以上のことから、1on1を通じて「部下の成長のためのサポート」「心理的安全性の確保」「成長予感の醸成」をかなえることが、エンゲージメントおよび業績を高めることにつながります。
以下のデータは、「1on1に関して困っていること」を上司・部下に調査したものですが、上司・部下ともに「面談について学ぶ仕組みがない」という点が上位にあがっています。つまり、多くの1on1において、上司はどのように1on1を設計したらよいのか、部下は1on1にどう臨めばよいのかということについて、不明確な状態のまま行われているケースが多いことがわかります。このことから、上司にも部下にも1on1について学ぶ機会を与えることが、効果的に1on1を進めるために重要となってきます。
とはいえ、上司の困っていること「第2位」に、「上司自身が多忙で、面談スケジュール設定が難しい」という点が上がっていることから、上司に負担をかけずに1on1を効果的なものにする工夫も必要となってきます。
引用:部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査/パーソル研究所(2025)
本調査では1on1を受ける部下に対しても調査を行っており、「面談に関するマニュアルや書籍を読む」「勉強会に参加する」など、面談について学ぶ機会があった部下は、機会がない部下と比較して成長度が高いということもわかりました。これは、部下が1on1の目的や受ける側としての心構え・姿勢について理解しているためと考えられ、1on1の時間をどのように使うべきかを理解している部下ほど、1on1での成長が期待できるということが伺えます。
上記データにおいて、部下側の「1on1に関して困っていること」第1位は「面談の効果を感じられない」となっていますが、1on1の時間の使い方について部下自身が考えることは、これらの困りごとを解消するきっかけになるのではないかと期待もできます。
上記のことから、1on1を現場で定着・機能させるために人事ができる支援策には2つの観点が必要となってきます。
・上司だけでなく部下にも1on1について学ぶ機会を提供する
・上司の負担をかけずに部下が学ぶ仕組みをつくる
とはいえ、どのように学習機会を提供すればよいかわからない、部下の方々に向けた学習内容をどのように設計したらよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、1on1のねらいや事前準備に関する “部下向け1on1マニュアル” をご用意いたしました。
事前に部下の皆さんに配布することで、部下自ら1on1の意義や時間の使い方を学ぶことができます。
上司の負担の軽減と1on1の質向上の両立に役立ちますので、是非ダウンロードください!
<1on1マニュアルの概要>
1on1の目的/1on1の進め方/1on1の準備/よくある質問
1on1のねらいは「部下の成長」であり、上司だけが努力するのではなく、部下も1on1の目的やとるべき行動について学ぶ・実践する機会があると、1on1の効果を最大化することができます。
以下の記事では、1on1に関する現場上司のお困りごとや対策ヒントをまとめておりますので、ぜひあわせてご覧ください。