ーCASE STUDY
PROG@Workで技術者力を再定義
自動車メーカーC社
企業名非公開(従業員規模:1万人以上)
開発の効率化や技術の高度化を目指して、1000人規模の組織を細分化・専門化し、1組織130人程度、6つの機能別組織へと移行しました。この技術領域は非常に難しく、30年間同じことを繰り返しても突き詰めきれない一方で、トップ技術者には製品全体を俯瞰する能力が求められます。しかし、組織が1000人から130人に縮小されたことで、トップ技術者が不足するのではないかという懸念が生まれました。このままだと、技術の伝承が途絶え、会社の技術力が失われてしまう恐れがあり、6つの組織に分かれても、しっかりとした人材育成ができる体制を作る必要がありました。
まず最初に、「技術者の能力を測るものさし」を作ることから始めました。議論を重ねた結果、技術者力は以下の3つの構成要素からなる総合的な力として位置づけました。
① 業務経験:開発を進めることで培われる実務経験
② リテラシー:論理的思考力(知識を活用し、未経験の問題についても論理的に考え解決する力)
③ コンピテンシー:行動特性(経験を積むことで身についた、周囲の状況に上手く対応する行動指針)
このように、技術者力を「業務経験 × リテラシー × コンピテンシー」によって決まると定義し、3つの軸(①業務経験、②リテラシー、③コンピテンシー)が、どういう比重割合だと我々にとって技術者力を測るものさしとしてしっくりくるのかを20パターンほど試しました。その結果、①業務経験の比重が高く、2:1:1という比率であることがわかりました。
この技術者力の定義は、組織の育成課題の見える化と個人の目標設定に活用しています。
組織レベルでは、6つの組織ごとに三次元的(技術経験×リテラシー×コンピテンシー)に人口分布を作成し、組織によって技術者力が偏っているところはないか、技術伝承リスクがある組織はないかを見える化しました。そして、人材の層が薄くなっている組織には、技術伝承を絶やさぬように、トップ技術者をアサインしたり後継者育成方針を考えるといった取り組みを行いました。
個人レベルでは、個々の技術者力の測定に活用しました。
個人には、自己キャリア計画書を作成しており、長期スパンでの技術者力の到達目標について記載してもらっています。この「技術者力のデータ」と「自己キャリア計画書」「異動希望等」のデータから移動候補者リスト(マッチングリスト)を作成し、組織課題が露見したところにマッチングリストから人材を見つけ、配置するという手法を取り入れるようになりました。
これにより組織ごとの技術力の偏りが是正されるようになっています。
もともと肌感覚で捉えていたものが視覚的にわかるようになったことで、技術者の能力や組織の状況をより明確に把握できるようになりました。さらに、組織編制において、組織の都合で人を動かすのではなく、本人の現状の技術力、目標、希望を加味して異動を決定する仕組みができたことは大変ありがたかったです。
また、3つの軸(①業務経験、②リテラシー、③コンピテンシー)に対して①業務経験の比重が高いことがわかり、この分析結果は今後の育成方針に反映させ、次世代の技術者育成の継承につなげています。
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