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シャインの『キャリア・アンカー』とドライバーの『キャリア・コンセプト』という理論は、ほぼ同時に発表されました。この2つの学説は、いずれも「キャリアに関してどういう志向もっているのか」と「個人の欲求・価値観と個人のキャリアをどう調和させていくか」ということに言及しています。
シャインは、才能や能力について言及していますが、ドライバーは言及していません。またシャインは、「仕事の経験がなければ、キャリアに対する考え方は持ちようがない」、「仕事を通して初めて発見される才能がある」とも主張しています。シャインの主張は、確かに正しいものです。しかし、キャリアを初めて選択する人、発見された以外の才能があるかもしれないと考える人、あるいはキャリアに対する考えがまとまらない人など、キャリアについて悩みを持つ人は少なくありません。そうした人々の参考となるように、ドライバーの『キャリア・コンセプト』とシャインの『キャリア・アンカー』を参考に作られたのがCDです。
CDでは、キャリア志向を
1)経営管理志向
2)専門志向
3)自律志向
4)起業家志向
の4タイプに分けています。この4タイプは、シャインの『キャリア・アンカー』の8タイプ(その他に、「安定」「社会への貢献」「チャレンジ」「全体との調和」がある)うちから、「働き方の類型」(キャリアのタイプ)に近いものだけをピックアップした結果となっています。CDの作成にあたり、日本人2万人のサンプルを収集し、因子分析を行った結果、この4タイプの妥当性を確認しています。
多くの人は、4タイプのそれぞれの要素をある程度持っているのが普通で、完全に特定のタイプだけの要素を持っているケースはまれです。また、このアセスメントの結果は、短期間(2〜5年)で変わる可能性のあるものです。例えば、専門志向がなくても、ある仕事が面白くなれば専門志向が高くなるというケースも報告されています。
ですから、自分自身の結果を見る場合は、その時々の絶対的な数値で見るよりも、「最も高い志向はどれか、二番目は何か、最も低い志向がどれか、それらは相対的にどの程度の強度差を持っているか」といった、あなたの中での相対的な傾向を汲み取ることの方がより重要です。 |
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