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COC+事業に重要なのは「お金」よりも「人」

「COC+事業を振り返って」ご意見募集アンケート

2020/02/05  タグ: ,  

2019年度が最終年度となっているCOC+事業について、当サイトのメールサービスをご購読のみなさまにお願いした「COC+事業を振り返って」ご意見募集アンケートでは、大学教員・職員のみなさまを中心に多数のご回答をいただき、まことにありがとうございました。その結果の一部をご紹介します。

問題は「お金」よりも「人」

ひときわ目を引いたのは、「Q3. COC+事業を進めるうえでのボトルネックは何が一番大きいですか?」に対する回答で、「人材不足」が53.3%と、「資金不足」23.3%を大きく上回って最多だったことです。

「Q2. COC+事業の今後についてどのように考えていますか。」では事業を継続する(学内予算で/外部機関で)回答と、継続しない・できない(予算の制約があるので/国や県の予算に期待したい)回答とが拮抗していますが、たとえ予算が確保できても、能力と熱意をもった人材がいなければ、継続は厳しいのではないかと推測できます。
むろん「人件費」は事業資金の大きな割合を占め、この2つは相互に関係しています。しかし「ボトルネックを1つだけあげるとしたらお金よりも人」とお考えの方が実に半数以上と、「人」の重要性は強く示唆されています。私たちが取材などを通じて得ている「事業の成否には人的要素が大きい」「改革を進めるには組織(大学)にキーパーソン(教職員)が必要」という実感に沿うものであると同時に、大学人のみなさまのご意見を直接いただいて改めて確認できたことでした。

COC+事業の満足度は

Q1では、COC+事業に対する満足度を、総合および観点別で伺いました。
総合的な満足度では「大変満足+満足」13票に対し「大変不満+不満」12票と、割れてはいますが、「満足」のほうがかろうじて多いという結果です。
ただ、「大変満足+満足」13票のうち10票が「プロジェクトのメンバーだった」「責任者だった」回答者によるもので、「少しだけ関わりがあった」「関わりがなかった」回答者で「大変満足」との回答はありませんでした。逆に、「大変不満+不満」12票のうち10票が「関わりが(少ししか)なかった」回答者でした。COC+事業に少し距離を置いていた方のほうが評価が厳しい(満足度が低い)傾向です。

観点別では、総合のように「満足も不満も多い」ではなく、「満足が多い(不満は少ない)」ものか、「不満が多い(満足は少ない)」ものかに分かれました。
「満足が多い」観点のうち、特に「Q1-1 大学と地域との連携が深まった」「Q1-4 地元企業との連携が深まった」では「大変満足+満足」が5割以上でした。「不満が多い」だった観点は「Q1-3 地域の活性化が進んだ」や「Q1-5 大学のカリキュラム改革が進んだ」です。学外との連携についてはある程度の成果があった(満足できた)ものの、それによって大学そのもの、あるいは地域そのものの変革には至らなかった、と読むことができそうです。

COC+事業の5年間を振り返っての感想

以下、みなさまの自由記述からいくつかのご意見をご紹介します(原則として全文)。

A.(プロジェクトメンバー・教員)

COC+のような事業を有効に進めるには、自治体や企業との連携に精力的に取り組む意欲と能力のある人材が必要であるが、学内の教職員、とりわけ教員については、どうしても自分の専門分野との関わりがうすいとなかなか有効に機能しないことが多い。もちろん経営層のトップの意識改革はいうまでもないが、やはり、中心となって働いてもらえる有意な人材を学外から招き、予算の打ち切りといった問題に惑わされることなく、継続的に活動することが望ましい。COC+事業の実施で、学内外に、ようやくその気運が高まりつつあるこの時に、学内予算に加えて、今後も国や自治体、そして企業等から資金や人材の補助があることを強く望むところである。

B.(プロジェクトメンバー・職員)

大学が地域と繋がるという意味で大きな成果となった事業であった。こうした事業がなければ全国の大学が一斉に自地域に目を向けることはなかったと思う。また、地域の魅力や課題なども明らかとなり大学や学生の果たす役割が明確になった。こうした取り組みではコーディネーターの役割が大きかったが、一方で最終年に近づくほど任期付のコーディネーターの手柄づくりのような雰囲気があった。

C.(プロジェクトメンバー・教員)

既存の事業とCOC+事業との整理ができていないので、仕事が重複する。

D.(責任者・教員)

一部の企業ではあるが、学生と社員さんとの共同の企画による製品開発・販売の機会を与えてもらえ、学生には得がたい経験をさせることができた。このプロジェクトのために会社はかなりの金銭的負担があった(開発商品について赤字を抱えた)と社長が言っておられたので、おそらくCOC+というきっかけがなかったら、このプロジェクトはなかったと思われる。

E.(関わり少・教員)

県内の大学と県内の企業との組み合わせが安易すぎる。首都圏や近畿圏からのUターンを増やすように政策目標を設定すべきだった。

F.(関わり少・無回答)

インターンシップなどを通し学生と地域との関わりは確実に増加したと思います。しかしながら、地域の社会人と触れ合うことで、生活の厳しさ、産業としての将来不安、入社後の待遇や働き方の現実を知り、よりリアルに地方で働くことへの不安を感じてしまう学生たちが存在しました。地域の課題を抱えつつも、前向きに取り組む若手経営者や事業開発型のベンチャー企業など、地方創成に関わるモチベーティブな人材との接点を増やし、長期的な関わりの中で地方創成の喜びを共感する場が今後大切であると思います。

G.(プロジェクトメンバー・教員)

COCからの継続校以外の参加校は自らの役割をどのように果たせばよいか模索しているうちに5年が過ぎてしまったように感じられました。

結びに代えて

COC+事業は今年度でその役割を終えたことになる。COC+採択校の中に後継予算への期待もある中、2020年度事業として、概算要求の時点では「出口一体型地方創生人材養成システム構築事業」(約25億、新規)が盛り込まれていた。しかし、1月の予算案では「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」(約2.5億、新規)と1/10に縮小してしまった。「地域の知の拠点としての大学が、若者の地元定着と地域活性化を推進する」という趣旨こそCOC+を引き継ぐものの、「後継事業」といえるものではなかったようだ。
今回のアンケート結果からも分かるように、大学と地域の連携強化を図り地域活性へつなげるには、何よりも有用な人材の獲得が重要である。近年地方大学では地域人材育成のための学部や学科が数多く生まれている。理想を言えばその卒業生たちがリーダーとして活躍してほしいところだが、時間が足りないのは明らかである。また、有能な人材の多くは大都市圏に集中している。したがって、すべての地域がその有能な人材を得ることは極めて難しく、地域活性化とは人材の獲得競争ともいえる。

角方正幸(「キャリアの広場」責任者/
リアセックキャリア総合研究所所長)
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