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学修成果の可視化と活用事例 vol.2

DP達成度評価の妥当性検証のためPROGを導入
学修成果の可視化データに基づきカリキュラムを見直し、
授業改善を実現

京都光華女子大学短期大学部
本部所在地京都府京都市
学生数137名(2022年5月1日現在)
インタビュイー
京都光華女子大学短期大学部
ライフデザイン学科 学科長 教授
小山 理子

2022/05/13

DP達成度評価が妥当かどうか検証するため、PROGテストを導入した

本学は2014年度、文部科学省の大学教育再生加速プログラム(AP)のテーマⅠ「アクティブ・ラーニング」とテーマⅡ「学修成果の可視化」の複合型に採択され、到達目標型教育を目指して、DP(ディプロマポリシー)を核とした「総合的評価提示システム」を構築しました。学生が「何ができるようになったか」を自覚できるようにするために、DPを分野ごとの到達目標として具体化したミドルレベルディプロマポリシー(MDP)を設定し、DPやMDPの達成度について、学生の自己評価と教員評価に取り組みました。
その後、汎用的能力を客観的に測定できるPROGテストを実施しました。PROGは既に多くの大学で導入され、信頼性・妥当性も高い指標と認識しており、本学のDPと親和性も高かったので、自己評価や教員評価が妥当な結果となっているかの検証に適していると考えたのです。DP達成度の教員評価と、対応するPROGスコアとの相関を確認したところ、正の相関が見られて評価の妥当性が確認できたDPもありましたが、負の相関が見られたものもありました。このことは、教員評価の精度を改めて議論し、評価の勉強会も開催するきっかけとなりました。
PROGを導入してもう1つ良かったのが、テスト結果の学生へのフィードバックです。学生向け結果解説会では、自分の強みや弱みが把握できるだけではなく、学生生活でどの点を伸ばしていけばよいか考えるきっかけを与えてくれます。解説会に参加した学生の成長意欲は高まり、学習への取り組み姿勢が良くなることで、授業や課外活動での主体的な行動にも繋がっているように感じます。

PROGの結果から学生の強みや課題、伸ばし方を分析し、カリキュラム改革を行った

PROGの結果から、本学の学生は他の女子大や短期大学の学生と比べ、協働力や統率力は高いが、自信創出力や感情制御力、実践力が低いことがわかりました。

これは教員の実感値とも近い結果だったことから、強みを伸ばして弱みを克服していく方向で、カリキュラム改革を検討しました。
その一例が2015年度に行った「プレゼンテーション演習」の必修化です。高校時代の学習経験と入学時のPROGスコアの相関分析を行ったところ、協働力や自信創出力、感情制御力などの高い学生は、高校時代にグループで自分の意見を述べたり、多くの人前でプレゼンテーションをしたり、新たな企画を考えたりした経験が多いことがわかりました。

そこで、「プレゼンテーション演習」を、教室内でプレゼンを行うだけでなく、地域の自治体や企業から提供された課題・問題に対して企画提案を行うプロジェクト型の演習に改変するとともに、必修化しました。
カリキュラム改革の結果、2015年度入学生~2017年度入学生全体では、短大の2年間という短い期間で顕著にコンピテンシーが伸びていることがわかりました。


この成果を受けて、2021年度には汎用的能力をさらに強化するカリキュラム改革を行いました。「プレゼンテーション演習」はプレゼンテーション力の養成を主目的とした「ライフデザイン・コンピテンシー(LDC)I」に改め、地域が抱える問題の調査・収集と共有に取り組む「LDCII」、地域や企業が抱える問題解決に取り組む「LDCIII」を新たに加えました。

インタビュー調査により学生がコンピテンシーを伸ばした成長要因を把握し、授業手法を改善した

AP採択以降の取組により、全体としてコンピテンシーの平均スコアを伸ばすことはできましたが、入学時にレベル1だった学生が伸び悩み、そのままのレベルで卒業していくケースも少なくありませんでした。そのような学生を成長させる方法を検討するため、レベル1から伸長した学生にインタビューを行い、成長要因を調査しました。
PROGテストの回答データを用いて行動変容のきっかけとなったエピソードを聞き取っていくと、「人前で話すことがすごく多かった」「最初はうまくいかなかったけど、だんだん慣れてきて、まとめて手短に話せるようになった」「1個意見を言ったら『もっと深くするためには?』とどんどん付け足されて、考えるのが楽しくなった」など、成長につながったエピソードが学生本人から出てきたのです。これらのエピソードを参考に翌年度、ある演習科目で強制的に発表を課し、学生同士でフィードバックし合えるよう授業を改善しました。当初、強制的に発表経験を積ませることは学生の負荷が大きすぎるのではないかと不安もありましたが、インタビューの成長エピソードを質的データとして分析することで、客観的に授業改善に取り組むことができました。また、強制的に発表させるにあたっては、何を言っても受け入れられる安心・安全な授業環境の整備が重要と考えました。学生同士でフィードバックする場面では、相手の意見をしっかり聞き、どんな考えも否定しない場作りを徹底すると共に、プレゼンを相互評価するワークシートで「改善が必要な点」よりも「良い点」を書き込むスペースを大きくするなど、細かな工夫も重ねました。
その他、フォロワータイプの学生がリーダーを経験することも成長要因の一つと分かりました。グループ編成の際、各グループにリーダーとフォロワーを均等に配置していたのを、あえて同じタイプの学生同士でグループを組ませるように変えてみました。経験の少ない学生がリーダーを務めることは大変ではありますが、授業を通して明らかに成長していると手応えも感じています。

今後は就職データとPROGの関連分析を行い、学生の就職満足度の向上にも繋げたい

現在、学生には入学時と2年次の前期末にPROGを受験しています。2回目の受験が2年次前期末なのは、就職活動や編入試験、卒業後の社会生活に生かすためです。本学は短期大学なので、初年度から職業人としての専門力と社会人基礎能力の育成を同時並行で進めていかねばなりません。希望の就職先に就職した学生がPROGスコアではどんな強みを示しており、在学中にどんな学修経験をしたのか。それらを分析し、更なる授業改善やカリキュラム改革に活かし、学生が満足のいく就職活動ができるような支援にも繋げていきたいと思います。

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