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[新Vol. 39] 成城大学

教職学協働で自律的な学習者を育む 学びのコミュニティー

2023/04/13  タグ:  

成城大学基礎DATA

本部所在地 東京都世田谷区
設置形態 私立
学部 経済学部/文芸学部/法学部/社会イノベーション学部
学生数 5476名(2022年5月1日現在)

社会(企業)が学生(新入社員)に求める能力レベルが高まる傾向にあるなか、大学が取り組むべき教学改革は、学生(学修者)本人に対しては学修成果を可視化し、社会に対しては卒業時質保証を行うことだろう。その取組があってこそ、学生は最終学歴となる「学びのゴール」に到達すると同時に、「働くことのスタート」に立つことができるのだ。
このシリーズでは、「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目し、学長および改革のキーパーソンへのインタビューを展開してきた(リクルート「カレッジマネジメント」誌との共同企画)。今回は、「学生による学生のための学習支援団体」であるピアサポーターの活動が注目される成城大学で、杉本義行学長にお話をうかがった。

『学び合いプロジェクト』から生まれた「ピアサポーター」

杉本義行学長_

成城大学が2017年から取り組む、「学生による学生のための学習支援団体」であるピアサポーターの活動が、JASSO(日本学生支援機構)の調査報告書で先進事例として取り上げられるなど、注目されている。杉本義行学長は、2015年に「学び合いプロジェクト」の構想を始めた背景をこう語る。「大学の使命は、学生が成長でき、その成長を実感できる学習環境を提供して、自律的な学習者を育てることだというのが私の考えです。学習環境として重要なのは、物理的な環境だけでなく、何を学ぶか、誰と学ぶかといったことです。この観点で、学生の能力を高め、学ぶ意欲を醸成し、自律的な学習者を増やすことを学び合いに期待しました。また本学には学園内からの入学生が全体の10%ほどいますが、その学生たちのコミュニケーション能力の高さと、『学び合いプロジェクト』とに親和性があるという判断もありました」。
成城大学の学生支援の特徴は「教職学協働」。教・職だけでなく「学」すなわち学生も協働するのだ。それは「ピアサポーター」という現在の名称にも表れている。「学習面をサポートする学生は、一般的には『ピア・チューター』と呼ばれます。しかし学生たちから、チューターには何かを教えるイメージがあるため、自分たちの名称とするのはためらわれるという声が上がりました。確かにこの活動は、『教える』とは少し違います。そこで、学習面をサポートする制度自体は『ピアチューター制度』としつつ、サポートする学生は『ピアサポーター』と呼ぶことにしました」(杉本学長)。

ピアサポーター研修やサポーター団体の交流活動にも注力

既に活動していたサポーター4団体に、ピアサポーターが加わった5団体のサポーターには、2022年度、のべ約450人が登録しており、そのうちピアサポーターは37人。現在の活動の大きな柱が、授業の中に入って、教員のもとで学生をサポートする「授業サポート」だ。杉本学長は、コロナ禍で急増したオンライン授業でその効果がはっきり見えたという。「例えばブレイクアウトルームに分かれたときに授業サポートの学生がファシリテーターとして声がけすることで、グループの対話が活性化するといったことを聞きます。教員からは『非常にありがたい』と評価が高く、それを聞いて導入する教員が増えています」。

ピアサポーターに対するコーチングやファシリテーションの研修が充実していることや、サポーター団体同士が交__流するSupporters’ Forumを毎年開催していることも、成城大学のピアサポーター活動が注目されているポイントだ。
Supporters’ Forum開催のきっかけは、サポーター団体間において、学内でもお互いの活動がよく分からないことだった。活動内容はそれぞれ違ってもサポートするという意味で共通の問題を、5団体が一堂に会して解決する場にしようと、ピアチューター制度が始まった2017年に第1回を開催。さらに、他大学にも参加を呼びかけ、第2回からは全国の大学・高校のサポーター学生が参加するイベントとなっている。

国際教育、理数系教育、情操・教養教育からなる
学園の「教育改革三本柱」

2017年に学園全体で定めた、「成城学園第2世紀プラン」の一環に、国際教育、理数系教育、情操・教養教育からなる「教育改革三本柱」がある。その中でピアサポーターを含むサポーター活動は、学び合い助け合う情操教育として、「情操・教養教育」の柱に位置づけられる。「国際教育」には、IELTS・TOEFL(R)対策や異文化理解プログラムなどで海外留学を支援するSIEP(成城国際教育プログラム)。「理数系教育」には、文系大学でありながら全学共通教育科目として設置されたデータサイエンス科目群。これらを合わせた三本柱で、自律的な学習者を育成していく構えだ。「大学での学びと、社会での学び方とが共通しているとすると、教室での学習経験をリフレクションしていくところが大切なので、そのリフレクションをもう少し体系的に学んでいく場をつくることが必要だと思っています」と杉本学長は語る。

徐々に広がりつつある自主活動

サポーター活動をしている学生が自律的・主体的な学習者になったか、定量的な成果の可視化は今のところできていない。「ただ、1年生のときには心配だった学生でも、サポーター活動を通じて驚くほど変わっていくので、定性的な効果は強く感じています」と杉本学長は言い、学生たちの学び合いの、着実な広がりも実感しているという。「例えば、2018年度から『時間割相談』という活動が始まり、2022年度は5日間で500件以上の相談を受けました。これは大学からの依頼ではなく、ピアサポーターの中から出てきた自主活動です。こういう活動を、もう少し広げたいですね」。
最後に、約5年の取り組みを経た今、どのように未来を見据えているか、そこに向けての課題などを尋ねた。「本学はずっと昔から、学園全体で『個性尊重教育』を重視していますが、今、個性・多様性を尊重しながらも合意形成をしていく力が、求められていると思います。ですのでまず1つは、そのための科目をもう少し増やすこと。もう1つが学部横断的なプログラムの強化で、その中に地域や企業といった学外との結びつきや、高大連携なども組み込めればと考えています」(杉本学長)。

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