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[新Vol. 43] デジタルハリウッド大学

デジタルコミュニケーションの本質を理解した人材を育成

2024/04/24  タグ:  

デジタルハリウッド大学基礎DATA

本部所在地 東京都千代田区
設置形態 私立
学部 デジタルコミュニケーション学部
学生数 1333名(2023年5月現在)

社会(企業)が学生(新入社員)に求める能力レベルが高まる傾向にあるなか、大学が取り組むべき教学改革は、学生(学修者)本人に対しては学修成果を可視化し、社会に対しては卒業時質保証を行うことだろう。その取組があってこそ、学生は最終学歴となる「学びのゴール」に到達すると同時に、「働くことのスタート」に立つことができるのだ。
このシリーズでは、「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目し、学長および改革のキーパーソンへのインタビューを展開してきた(リクルート「カレッジマネジメント」誌との共同企画)。今回は、日本では数少ない株式会社立の大学であるデジタルハリウッド大学で、事務局長の池谷和浩氏、キャリアセンター長の座間味涼子氏のお二人にお話をうかがった。

日本で稀有な株式会社立大学


事務局長
池谷和浩 氏

キャリアセンター長
座間味涼子 氏

デジタルハリウッドは、1994年に社会人向け専門スクール開校、大学院設立を経て2005年に学部を設置、「デジタルハリウッド大学」開学となった(いずれも文科省認可)。学校法人ではなく株式会社立の形態で、独自の教育・研究および大学運営を展開している。
事務局長の池谷和浩氏は「デジタルハリウッド大学は、デジタルクリエイターを育てる大学ではありません」と言う。「コンピュータとインターネットが、人類の生活に無くてはならない社会基盤となった今、デジタルコミュニケーションの本質を理解した人材を育成することが急務」という杉山知之学長の想いからスタートし、「これからの未来を生き抜ける力を身につける人を育てる」ことを、設立時から大学の根幹としている。

学生が夢中になり、自分に目覚めるカリキュラムを作る

「杉山先生はよく、デジタルハリウッドは『そうなってしまう場所』なんだという言い方をします」(池谷氏)。
「そうなってしまう」ために大学が腐心するのが、「学生が夢中になり、自分に目覚めるカリキュラムを作る」。今年度(2024年4月)発表した中長期構想「DHU 2030 ProtoDesign」で定めた「1つのミッション、3つのビジョン、9つのシナリオ、27のゴール」では、シナリオの1番に掲げられている。
「デジタルコミュニケーション学部デジタルコンテンツ学科」1学部1学科の編成は、「自分に目覚める、クリエイティブに生きていく自覚を持つ、好きなものを見つけて、伸ばしていく」という考え方による。学生一人ひとりは、大学スタッフからゴールの25番「学生の希望を個別に把握し、行動の障壁になるものを取り除き続ける」というサポートを受け、履修を調整していく。

カリキュラムフローも特徴的で、一般的な大学教育とは全く逆に、1年次に専門科目があり、2年次以降に教養科目という順序になっている。

「1年次で映像やCGの作り方を教わって手を動かせるようになると、制作の課題が複雑になり、自分らしいアウトプットもしたくなってくる。例えばゲームのキャラクターの名付け一つでも、ギリシャ神話とか、世界の宗教とかを紐解きたくなり、いわゆる『知』の引き出しが少ないことに気づく。世界に対するリベラルアーツ的な関心が、自分の制作的な欲望と結びついて立ち上がってくるのです」(池谷氏)。ただ順序に工夫があるだけで、特に履修を促してはいないが、教養科目の人気は非常に高いという。

キャリア支援は、就職、起業、フリー、進学かの選択から

キャリアセンター長の座間味涼子氏によると、キャリア支援は「どこの企業に就職するか」ではなく、「企業に就職か、起業か、フリーになるか、進学かという選択が第一歩」と、1年次から多様なキャリアパスを示している。「就職のではなく、キャリアの支援」というスタンスが明確だ。その上で、就職においては株式会社立の大学であることが強く作用していると言う。
「さまざまなつながりがあるため、企業との接点が非常に多いのが特徴です。産学官連携部署、大学以外のオンラインスクールや専門スクールなどの各部署からの求人の情報を、キャリアセンターが集約しています」。

自分に目覚めた結果、活発化する大学発ベンチャー

「学ぶと働くをつなぐ」観点での成果として、大学発ベンチャーも多い。2022年度の関連ベンチャー数は104 で、全国の大学で13位(経済産業省「令和4年度大学発ベンチャー実態等調査」)。「自分に目覚めた結果として、起業に至る人たちがそれだけ多いのです」(池谷氏)。

こうした成果は、ビジョンの1番「デジタルコミュニケーションを駆使し、人間らしく、自分らしく未来を生き抜く人が育つ学校になる」の実現と捉えられる。一方、ビジョンの2番「あらゆる境界を越えて最前線の実務家と研究者が集い、未来生活をリデザインする機関になる」が今後の課題と池谷氏は言う。「もともと、マサチューセッツ工科大学をモデルとする『メディアラボ構想』からできた大学です。博士論文指導ができるアカデミックな先生と、産業界で先端的なテクノロジーを駆使する先生が両方いて、社会人の院生もいれば学部生もいて、研究テーマごとに企業スポンサーがつき、成果を社会に還元するところまでいって、構想の完成です」。
これからの方向性は、ミッション「テクノロジーカルチャーの界面を無限に拡張し、自由に愛する文化を創造し続ける」に集約されている。「テクノロジーカルチャー領域に関しての、教員のアサイン、カリキュラムの科目配置、学生への機会提供などを通じて、あるべき姿に近づいていきたいと思います」(池谷氏)。

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