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[新Vol. 52]江戸川大学

学ぶ-働くのつながりが分かりやすいコース制で興味・関心を引き出す

2026/07/08

江戸川大学基礎DATA

本部所在地 千葉県流山市
設置形態 私立
学部 社会学部/メディアコミュニケーション学部
学生数 2510名(2026年5月現在)

社会(企業)が学生(新入社員)に求める能力レベルが高まる傾向にあるなか、大学が取り組むべき教学改革は、学生(学修者)本人に対しては学修成果を可視化し、社会に対しては卒業時質保証を行うことだろう。その取組があってこそ、学生は最終学歴となる「学びのゴール」に到達すると同時に、「働くことのスタート」に立つことができるのだ。
このシリーズでは、「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目し、学長および改革のキーパーソンへのインタビューを展開してきた(リクルート「カレッジマネジメント」誌との共同企画)。今回は、学生一人ひとりの「学ぶ」ニーズに対し、卒業後の「働く」をイメージしやすいコース制で応え、小規模大学ならではの「対話を通じた教育」を徹底させる江戸川大学で、宮崎孝治学長にお話をうかがった。

「人間陶冶」と少人数教育の徹底

学長 宮崎孝治 氏

江戸川大学の教育理念は「人間陶冶」。人間性を磨くという意味の言葉だ。宮崎孝治学長は「教育目標で特徴的なのは、『人間としての優しさに満ち』という文言が前段にある点です。他者との関わりや対話、共同行動を通じて育まれる『優しさ』を重視しています」と言う。
それを具現化しているのが、徹底した少人数教育だ。1年次の「アカデミックスキル演習」「基礎ゼミナール」に始まり、全学科必修の卒業論文まで、教員と学生、あるいは学生同士が密接に関わりながら学ぶ。「教員の負担は大きいですが、これらの『対話を通じた教育』こそが『人間陶冶』の反映であると考え、1990年の開学以来守り続けています」。
また、人間としての優しさを涵養する場は教室内に留まらず、全学科の2年次に設置されている「演習・実習」や3年次の「専門ゼミ」は、学外に出て実践的に学ぶものが多い。「例えばマス・コミュニケーション学科であれば、数人のチームで映像や雑誌などの制作を行います。最初は見学から始まり、実際の課題に関わるまで、学年を追って経験を積み上げていきます」(宮崎学長)。

学生本位の柔軟な履修を担保するコース制

演習・実習や専門ゼミナールを通じて「自ら活動し、経験を自分のものにする」「適性を判断して進路を再考する」というプロセスは、開学以来のカリキュラムの根幹だと宮崎学長は語る。その伝統の上に2001年度から展開しているのが、学生の学びのニーズに合わせて柔軟な履修を担保する「コース制」だ。マス・コミュニケーション学科なら「映像クリエイティブコース」「ジャーナリズムコース」のように、学科内に複数のコースを設けている。
宮崎学長は、学生自身が「一生懸命に取り組める」と感じる分野を選択することで強みを伸ばしていけるとし、「学生が興味を持った学問を最大限に追究できる環境を保障したいと考えています」と言う。とはいえ、入学時には漠然としたイメージでコースを選択する学生が多く、実際の内容は入学後の学びを通じて理解していく。進級時などにコースを変更する学生は珍しくない。
学問的な興味の変化だけでなく、教員との相性という側面からコースやゼミを変更するケースもありうる。少人数教育であるがゆえに濃密になる人間関係は、ひとたびうまくいかなくなると、学生にとって負担となってしまうことも想定される。「学生がストレスなく学べる環境作りは教員の重要な役割」という観点から、コースやゼミの変更調整は、基本的にすべて教員が担う。「重要なのは、学生一人ひとりのニーズに対し、教員が対話や活動を共にしながら、将来を一緒に見据えていく関係性を築いていくことです」(宮崎学長)。
入学者数が年々増加傾向にある堅調な実績は、コース制の認知も一因ではあるものの、それ以上に、こうした「一人ひとりを丁寧に見守る姿勢」への評価だろうと宮崎学長は言う。

卒業後の職業イメージが高める学びのモチベーション

コース制のもとでは、学びのモチベーションが卒業後の職業イメージと結びつくことも意識されている。経営社会学科のスポーツコーチングビジネスコースで学んでスポーツ指導者に、というふうに、「学ぶ」と「働く」のつながりが分かりやすいコースが多い。学びそのものが実務に直結していることは、就職支援の観点でも強みとなる。
「各学科・コースでそれぞれの業界に精通した教員を配しています。ゼミや職場体験を通じて実践的に学び、自身の適性を確認することで、スムーズに就職へとつながることを重視しています。一方で学生の視野を広げることも心がけています。例えばマスコミ志望の学生に、一般企業の広報職でスキルを活かせると示すなど、1つの業界に固執しないよう導くことがあります」(宮崎学長)。
加えて、就職課の支援も手厚い。3年次の後期に就職課の職員が全学生と必ず個人面談を行うシステムをはじめ、教職一体となって小規模大学のメリットを最大限に活かす体制が整えられている。
卒業生の就職先企業からの評価では、最もうれしいのが「チーム戦ができる」「職場にうまく溶け込んでくれている」だと宮崎学長は言う。「これは『人間陶冶』の反映である『対話を通じた教育』の成果だと思います」。

AI だけでは解決できない人間力構築を目指す

現在の課題は、キャリア支援の質・量のさらなる充実だ。「障がいのある学生への合理的配慮に基づいた就職支援や、日本での就職を希望する留学生へのサポートなど、少数派のニーズにも細やかに目配りできる体制を、教職協働でより強固にしていくことを考えています」。
そして宮崎学長は、今後の江戸川大学の目指すところをこう語った。「これからの時代は、AI技術だけでは補えない『人間同士の結びつき』や『チームで意思決定する力』がますます重要になります。そのような力を備えた人材を育てるために、ボランティアや地域貢献といった正課外の活動も含め、多層的な人間関係を構築できる場を提供し続ける大学でありたいと考えています」。

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