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●緊急記事●産業界ニーズ【テーマB】にどう対応するか

インターンシップの取組を拡大・強化

2014/03/25  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

突如公表された新たなテーマ、その背景

「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」(以下、「産業界ニーズ」)はもうすぐ平成26年度を迎え、3ヶ年事業の最終年となる。しかし、3月になって突如新たなテーマ設定が公表された。それは、従来の事業(テーマA)に加え、インターンシップの取組拡大を目指した【テーマB】である。

3月18日、この事業への申請要領が公表された。それを読むと、この事業が昨年末平成26年度概算要求の新規事業として打ち出された「大学等のインターンシップ充実に向けた地域におけるキャリア教育・就職支援体制整備事業」の焼き直しであることが分かる。一部の新聞に、全国13地域でインターンシップ事業の支援体制整備を文部科学省が計画とリークされた事業である。しかし、残念ながら財務省の壁は厚く、この大事な新規事業に予算はつかなかった。
インターンシップの強化拡大は、昨今話題を集めいよいよ26年度からスタートする就活時期の見直し・後ろ倒しへの円滑な移行のために重要な事項ということもあり、現内閣の関心も高い。にもかかわらず、この新規事業は財務省を説得することができなかったのである。そこで浮上したのが、事業目的の似通った「産業界ニーズ」への組み入れであったと思われる。

したがって、「産業界ニーズ」を実施中の全国10エリアの幹事校、採択校は上記の経緯を理解した上での対応、提案が望ましい。そこで、今までの就業力育成事業(平成22、23年度)、産業界ニーズ事業(平成24、25年度)の取組を踏まえ、テーマBへの参画で注意すべき点を以下に述べたい。

【テーマB】有効活用のポイント

1) 地域インターンシップ組織の地域範囲を明確にする
平成24年6月に発表された政府の「若者雇用戦略」において「地域キャリア教育支援協議会」(仮称)なる組織の立上げが計画され、早い段階から若者の目を中小企業に向かわせる政策が検討された。本事業の方向もこの政策と一致している。この「協議会」の「地域」は都道府県単位を想定しており、大都市圏では市単位も考えられる。つまり、「産業界ニーズ」で設定したエリアはそのまま一つでは広すぎるため、新たに地域範囲を限定する必要がある。
(したがって、将来的には産業界ニーズ採択校とのずれが大きくなることも想定しておく。)

2) 事業の継続性に配慮
今回の【テーマB】募集は明らかにイレギュラーであるが、テーマA(従来の事業)との関連性は強い。各エリアともインターンシップの高度化に取り組んでいるチームや部会は多く、これらの成果を生かした提案が一番有力である。ただし、事業の継続性を考え実際に将来の運営を想定した地域範囲、組織メンバー構成を考慮すること。

3) 中小企業がターゲット
企業との連携を考えるうえで重要なのは、学生と企業とのマッチングを想定した場合、そのマッチングが困難な状況にある中小企業とそこを目指す学生への啓蒙、確保である。また、現状ではインターンシップを実施している企業は大企業を中心に、受け入れ能力の高い企業群である。したがって、効果的な産学連携での就職支援体制整備は中小企業が優先される。

4) 人材育成に配慮したプログラム開発
文科省が行うインターンシップ事業として見落としてはいけないのが、キャリア教育の観点からプログラム開発がされているかという点である。単なる中小企業とのマッチングでは意味がない。インターンシップが産学連携による共同教育やアクティブラーニングなどの質の向上を目指していることが重要。

以上4点を考慮し、それぞれのエリアから地域特有の課題を考慮した個性ある提案がなされることを期待したい。そして、これを契機に日本のインターンシップが量・質ともに拡大することを願っている。

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