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■緊急記事■「就業力育成支援事業」の廃止と新規事業

2012/01/19  タグ:  

5カ年の予定を2カ年で廃止

文部科学省の「大学生の就業力育成支援事業」は、平成22年度~26年度の5カ年が予定されていたが、2011年11月の行政刷新会議の「事業仕分け(再仕分け)」により、平成23年度限りでの廃止に追い込まれた。

新規事業「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」

文部科学省は1月16日に、就業力育成支援事業の選定校180大学・短期大学を対象とする協議会を開催し、平成24年度からの新規事業「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」の概要を示した。

本事業のポイントは、地域ごとの「大学グループ」の取組に対して支援が行われることだ。複数の大学がグループを結成し、また、地元企業・自治体・経済団体などとの産学連携体制を拡充することで、個々の大学の限界を超える大きな取組を推進しようとしている。

梯子を外された180大学はどうする?

新規事業は平成24年度から3カ年を予定しており、就業力育成支援事業の選定校がこの事業の支援対象となるなら、形式的には当初の目論見どおり「26年度まで5年間」の助成となる。しかし実際には、あくまでも「新規」事業であり、選定校の優先枠があるわけでもない。

この事態に直面して、選定校の選択は次の3つに分かれそうだ。
_①取組を継続できるよう、2月~3月に予定されている新規の公募に応募する
_②過去2年間の成果が見られず、文科省への対応作業も大変なためこの機に取りやめる
_③まだ意思決定できず、地域内の他大学の様子を聞きながら対応を決める
1月中旬時点では③が多く、これから学内での協議や大学間での相談が始まると思われる。

この2年間で、「就業力」という概念やその重要性は、徐々にではあるものの社会的に理解されてきたと感じる。「事業仕分け」による事業廃止も、国の税金で支援することへの疑問が理由であり、就業力育成そのものの重要性が否定されたわけではない。
願わくば、「大学生の就業力育成支援事業」を通じて進めてきた教育改革の歩みを、ここで止めることなく進めたいものだ。そのためのキーパーソンとして、事業をきっかけに外部から任用(多くは任期付きで)された教職員に注目したい。改革のエンジンとして欠かせないこれらの人たちが、事業廃止後も継続的に活躍できる場を確保することが重要だと考える。大学の教育改革に、「一呼吸置く」ほどの時間は残されていないのだから……。 

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

 

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