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インターンシップは「自由恋愛型」から「お見合い型」へ

夏季インターンシップの時期に考える

2014/07/31  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

今年も夏休みに入り、恒例の夏季インターンシップの時期となった。今年は例年以上にインターンシップへの注目が集まり、企業・学生双方の期待値が高まっているように感じられる。その背景には、昨今の景気回復や就活開始時期の見直し、文部科学省や経済産業省の各種事業がある。したがって当面、インターンシップの「量」は自然と増加していくだろう。
インターンシップを経験する学生の数(割合)が増えるのは、もちろん望ましいことだ。しかし、大学教育の一環であるインターンシップには、人材育成としての質の向上が重要である。大学および企業は、数値目標化しやすい量の拡大に留まらず、ミスマッチの少ないコーディネートや教育効果を高めるプログラム開発など、質の向上に努めるべきなのである。

「自由恋愛型」は根本的な解決にならない

現在、企業の意欲の高まりとともに量的に拡大しているインターンシップは、積極的な企業と学生とがラブコールを送りあう「自由恋愛型」だと言える。しかし、この形では量も質も根本的な解決にはならない。ここに集うのは「わかりやすい魅力」の持ち主である大手有名企業・上位校の学生に、事実上ほぼ限られるからだ。

そこで、これから必要なのが「お見合い型」のインターンシップだ。名前も知らない中小企業群と銘柄大学以外の学生群の出会いの場づくりにはとくに有効である。
正課外のインターンシップに応募しない、自律性や主体性が乏しい学生。業績や職場環境は優良だが、人手不足などの事情からインターンシップの受け入れに消極的な企業。「自由恋愛型」には参加しにくいこんな学生・企業にインターンシップを拡大するのも、「お見合い型」ならではだろう。

「お見合い型」の決め手は仲人のリコメンド

お見合いには「仲人」が付き物だ。仲人に求められるのはまず、男女双方の性格や好みを事前に把握し、まとまるであろう可能性を見通す能力。そして、条件が整えば両者をその気にさせる演出のアイディア力。ときにはある程度の強引さも必要かもしれない。

インターンシップも同様に、お見合い(型)には仲人役が不可欠だ。いわゆる「インターンシップ・コーディネータ」なる専門人材だろう。学生と企業双方の希望を把握し、適性、望む仕事スタイル、経験、どんな力を保有しどんな力を伸ばしたいかなどの緩やかな条件に基づいて、上手くいくであろう両者を引き合わせ、リコメンド(おすすめ)する能力やノウハウを持つ人材である。
ポイントになるのはリコメンド能力だ。「私にはこの相手が相応しい」と学生・企業が納得するだけで、インターンシップに臨む態度がお互いに高まり、「質」向上に直結する。リコメンドに納得した、おすすめにしたがって実施したインターンシップの質は高かった、というケースが積み重なれば、ますます納得しやすく、インターンシップを実施しやすくなり、「量」の拡大にもつながるだろう。

ただし、専門人材(インターンシップ・コーディネータ)が仲人役を努めるだけでは、大幅な「量」の拡大は望めない。「質」においても、個々人の持つ情報と能力に依存する部分が大きすぎるきらいがある。「お見合い型」のこの短所を補うには、コーディネータ個々人が持つナレッジを共有するシステムを構築し、個人の「リコメンド能力」をシステマティックな「リコメンド機能」へと転化させることだろう。そうすれば量もこなせるし、データの蓄積によって質も高まる(文部科学省は「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」において、「テーマB インターンシップ事業の取組拡大」を今年度開始した。実はこの“テーマB”は、ナレッジを共有するシステムのプラットホームとして果たす役割が大きく、成果を期待したい)。

夏季インターンシップ学生を、秋にどう迎えるか

以上はやや長期的な施策となるが、短期的な、今年の学生のインターンシップの質向上施策も考えておきたい。
インターンシップが教育的効果をあげるには、就業体験そのものだけでなく、事前学習・事後学習が重要である。夏季インターンシップに送り出した学生を、秋にどう迎えるか、すなわち事後学習をいかに充実させるかによって、就業力、ジェネリックスキルは大きく向上するのだ。

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