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【追記あり】「例年より2か月短い」の影響は?――2013年春卒生就活まとめ

2012/04/24  タグ: ,  

2013年春卒業予定の大学生の就職活動は、例年より2か月遅く、12月1日に「広報活動」が解禁となった。試験や面接などの「選考活動」は例年どおりの4月1日に解禁だったため、就職サイト経由のエントリーや説明会に費やす期間が2か月短縮されたことになる。その影響を、「就業力関連ニュース」から振り返ってみよう。

2013年春新卒の就職活動開始:「内定得られるか」不安顔の学生も
2011/12/01 発表元:毎日新聞
2013年春卒業予定の大学3年生の就職活動が12月1日に解禁となり、東京都内で開かれた合同説明会には大勢の学生が集まった。経団連が会員企業対象の「倫理憲章」を改定したことにより、例年より2カ月遅い就職活動本格スタートとなった。
経団連の倫理憲章を順守する企業は、12月以降を「広報活動」と位置付け、各種説明会を開催。試験や面接などの「選考活動」は来年4月以降となる。例年は広報活動開始から選考活動開始までが6カ月間だったが、間隔が2カ月短くなったことで、説明会の日程が詰まり、企業側も学生側も多忙になることが予想される。
http://mainichi.jp/life/job/news/20111201dde001100012000c.html

4月23日までに「アンケート」ページに寄せられたご意見は、すべてが「反対」だった。
主なコメントとしては「学生が、生の企業情報に触れる機会が遅くなり、助走期間のないままに、本格スタートという流れになっている」「活動時期が短くなったことで、接点と機会を狭めてしまった」など、学生の立場から見た就職活動への悪影響に触れたものが目立った。経団連の倫理憲章改定の趣旨である「学業に専念する十分な時間を確保する」に関連する意見は皆無だった。

こちらのアンケートは終了致しました。ご協力ありがとうございました。
アンケート結果とみなさんの声をまとめた記事を、近日中に公開予定です。

■学生側の影響……エントリー社数は2~3割減

顕著に現れたのは、学生1人あたりのエントリー社数の減少だ。
各社の調査によると、12月末~1月時点での平均エントリー社数は、前年同期に比べ33%程度減少。2月中旬時点では前年同期に比べ約29%減と多少回復しているが、総エントリー社数は前年並みには届かないだろう。
ただし、解禁から1か月間の数字としてみれば、40~47社前後のエントリーは前年以上のハイペースだ。「短期決戦」が言われ、学生側・企業側ともに、短い期間に例年並みかそれ以上の接触機会をつくろうと精力的に動き出した様子がうかがえる。

2カ月遅れの就活スタート、動き出しは精力的――学生就職モニター調査・12月
2012/01/17 発表元:株式会社マイナビ
(株)マイナビでは就職活動状況の定点調査として「学生就職モニター調査」を10月~7月に実施しているが、就活スタートの12月の活動状況についてこのほど発表した。
就活スタートとともに活動は精力的で、合同企業説明会への参加は激増。しかしその一方で、個別企業セミナー参加は出遅れが目立つ。また12月の平均エントリー社数は39.8社で、スタート月としては過去3年で最も社数を伸ばしたが、2カ月早く始まった前年の累計と比較すると、20.4社減少。活動期間短縮により総エントリー社数は伸び悩む可能性がある。
http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/monitor/data/monitor_2013_1.pdf

例年と異なる就活がスタート、1月までのエントリー社数は前年より3割以上ダウン
2012/01/20 発表元:株式会社ディスコ
http://www.disc.co.jp/topics/13monitor_20120120.pdf

学生1人あたりエントリー社数は前年同時期比で約3割減少――2013年度新卒採用 就職・採用活動 2月度調査報告
2012/03/01 発表元:エン・ジャパン株式会社
http://corp.en-japan.com/newsrelease/detail.php?id=718

■「学生のエントリー数が少ない」などさまざまな影響

企業側に表れた影響は、「母集団形成が不十分」ということのようだ。「ターゲット学生からのエントリー数が想定より少ない」と悩む企業は多い。

企業側の悩みは「母集団形成」前年同時期比で18.9ポイント増――2013年度新卒採用 就職・採用活動 2月度調査報告
2012/03/01 発表元:エン・ジャパン株式会社
http://corp.en-japan.com/newsrelease/detail.php?id=718

ターゲット学生からのエントリー数が「想定より少ない」と回答した企業が約半数――2013年度新卒採用マーケット速報
2012/03/07 発表元:エン・ジャパン株式会社
http://corp.en-japan.com/newsrelease/detail.php?id=719

エントリー社数の減少、エントリー学生数の減少ほど顕著ではないが、以下のような影響も話題になっている。

企業の人事対象者は「学生の企業理解度低下」を懸念
2011/11/29 発表元:楽天リサーチ株式会社
http://research.rakuten.co.jp/report/20111129/

大学が12月1日以前にキャリア教育講座を開く際、企業の協力が得にくくなった
2011/12/19 発表元:東洋経済Online
http://www.toyokeizai.net/life/rec_online/success/detail/AC/2cfe7be80ad0fcddfcc6b317bb12c6ad/

多くの学生が例年より2か月短い就職活動は「不利に働く」と感じている
2012/01/20 発表元:株式会社ディスコ
http://www.disc.co.jp/topics/13monitor_20120120.pdf

「就職先人気企業ランキング」では有名企業人気がさらに強まる傾向
2012/01/31 発表元:株式会社ダイヤモンド・ビッグアンドリード
http://www.diamond-lead.co.jp/ranking12/index.html

学生が就職活動を意識し始める時期が全体的に後ろ倒しに
2012/03/07 発表元:エン・ジャパン株式会社
http://corp.en-japan.com/newsrelease/detail.php?id=719

また、独自の採用活動を展開する企業が目立ったが、これも活動開始時期の変更を1つのきっかけに新卒採用活動を見直したことからきているのかもしれない。

2013年春新卒の就職活動開始:企業からも不安の声「目標の採用数を確保できるか」
2011/12/01 発表元:産経新聞
就職活動の短期化で、企業も優秀な学生確保に苦労を強いられている。従来は日帰りで3日間開催していた就職希望者向けのセミナーを2日間にし、募集人数を倍以上の約70人にする企業もあるなど、セミナーの回数や人数を増やして学生との接触の機会を増やそうと躍起になっている。「解禁日に情報ゼロでのスタートは避けたい」(大手企業採用担当者)と、禁止されていないインターネットによる広報を活用する企業も増えた。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111201/biz11120122250039-n1.htm

“脱”就活サイト――企業が取り組む新しい就活スタイル
2012/02/28 発表元:週プレNEWS
現在の就活システムでは採用1人あたり何百万円というコストがかかるというが、それでも欲しい人材が採れるとは限らない。例えばユニクロを展開する(株)ファーストリテイリングの通年採用実施や、ソニー(株)の「就活のルールを変えよう」宣言など、そうした従来のシステムからの脱却を目指す企業も現れ始めている。ユニークなネットサービスを展開している(株)カヤックも、昨年からエントリーシートに代わり卒業論文や卒業制作での1次選考も開始。さらに今年はFacebook、GitHub、Flickrのいずれかの情報で選考する“ワンクリック採用”で注目を集めた。採用に力を入れているからこそ、「就活サイトからエントリー」という現在の就活スタイルに満足できなくなっている企業が増えつつある。
http://wpb.shueisha.co.jp/2012/02/28/9958/

■来年以降の新卒採用はどうなる?

今後の新卒採用活動については、少なくとも来年(2014年春卒)は、12月1日広報活動解禁のルールがそのまま適用される見通し。

会社説明会は、2012年も12月1日解禁の見通し
2011/12/20 発表元:朝日新聞
経団連の米倉弘昌会長は19日の定例会見で、説明会の解禁を従来より2カ月遅れとする採用のルールを定めた倫理憲章について触れ、「何年ごとに見直すとか、いまは考えていない」と明言。今月になって本格化した大学3年の就活について「このぐらい忙しくてもよい」と述べた。「従来より2カ月遅れ」の新ルールは、少なくとも来年はそのまま適用される見通しとなった。
http://www.asahi.com/job/news/TKY201112190637.html

しかし、「学業と就活の重複が十分解消されたとは言えない」「もっと遅らせるべきではないか」「多くの会社をまわる就職活動自体がそもそも疑問」などの声もある。

経済同友会、「将来は通年採用を」――新卒採用問題に対し提言
2012/02/23 発表元:経済同友会
新卒採用問題に関しては、広報活動の開始時期が従来の10月から12月へと変更されるなど改善のための動きはあるが、学業と就活の重複は十分解消されたとは言えず、根本的な解決に至っていないとして、経済同友会では解決策の提言として、2月23日、「新卒採用問題に対する意見」を発表した。提言では、就職採用活動の開始時期は現行よりさらに遅らせ「広報活動は大学3年生の3月から、選考活動は大学4年の8月から」とし、東大が打ち出している秋入学にも対応しつつ、将来的には通年採用への移行を目指すなど企業に変革を求めている。そのほか、大学や自治体などとも協力し中堅・中小企業に学生を紹介する「マッチングシステム」を構築すべきとしている。
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2011/pdf/120223a.pdf

「たくさんの会社に行けば行くほどいい」とは限らない~12/1会社訪問解禁にあたって
2011/12/16 発表元:法政大学(法政就業力通信(第9号_2011年12月)、教授 藤村博之)
法政大学「就業力を育てる3 ステップシステム」プロジェクト、プロジェクトリーダーの藤村教授によるコラム。会社訪問解禁日の変更に関し、「こういう時期だからこそ、誤った情報に振り回されないように学生を指導するのが、教員の務め」とし、「12/1解禁にあたり、マスコミは短期決戦と表現しているが、1970年代には、会社説明会解禁日が4年生の10月1日、面接の解禁日が11月1日だった。大半の学生はせいぜい5~10社をまわって就職先を決めていた。変化の激しい時代、多くの会社を回れば回るほどいいとは言えない」と説く。
http://3step.hosei.ac.jp/data/2011/11/d1d18f29af8228728f6289d77bd748f5.pdf

脱「横並び」ともいえる企業が出てきたことや、1月以降に話題となっている「秋入学への移行」の動きも含めて、「一斉に就活し、一斉に卒業し、一斉に入社する」慣行への疑問が生じ始めているのではないだろうか。

■その他の「例年より2か月遅れの就活」関連ニュース

2013年春新卒の就職活動開始:各社の就職関連サイトが一斉にオープン
2011/12/01 発表元:RBB TODAY
http://www.rbbtoday.com/article/2011/12/01/83593.html

学生1人あたりのエントリー社数は、前年比38.9%減の42.4社に――2013年度新卒採用 就職・採用活動 1月度調査報告
2012/02/01 発表元:エン・ジャパン株式会社
http://corp.en-japan.com/newsrelease/pdf/201201shinsotsu.pdf

企業との接触に活発な動き――学生就職モニター調査 2月
2012/03/09 発表元:株式会社マイナビ
http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/monitor/index.html

こちらのアンケートは終了致しました。ご協力ありがとうございました。
アンケート結果とみなさんの声をまとめた記事を、近日中に公開予定です。

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