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コロナ下のオンライン環境で「PBL型授業」はどう変わる?

「第1回 キャリアの広場LIVE」実施レポート Vol.1

2020/09/23  タグ: ,  

当リアセック「キャリアの広場」編集部では、2020年8月27日、オンラインセミナー「キャリアの広場LIVE」を実施した。従来のweb上の記事企画を、Zoomによるウェビナーでライブ講座にし、Q & A 機能で参加者からの質問を受ける双方向型オンラインセミナーで、全国から100名以上のご参加をいただいた。

Q & A 機能で参加者からの質問を受け付けた

Vol.1・2の2回に分けて、本セミナーのレポートをお送りする。このVol.1では

講演② 森樹男 弘前大学人文社会学部 教授
    ”学ぶと働くをつなぐ”授業拝見シリーズ ビジネス戦略実習

を中心に紹介する。

■”学ぶと働くをつなぐ”ための3つの指針

「キャリアの広場編集部」編集長(リアセックキャリア総合研究所所長)角方正幸の講演①は、「コロナショック下で大卒者の”学ぶと働くをつなぐ”ための3つの指針」と題し、8月6日に発表された「大卒求人倍率」の読み解きをきっかけに、これからのキャリア開発支援に求められる指針を以下のように示した。


これはいわば本セミナーの序論であり、「②働く意欲、能力を高める工夫」の具体的事例として、ジェネリックスキルの育成で成果を上げている弘前大学、働く意欲・職業観の醸成に取組む創価大学を取り上げ、ご登壇をいただいた。

■ジェネリックスキルを育成するPBL型授業、弘前大学「ビジネス戦略演習」

当「キャリアの広場」の連載記事「学ぶと働くをつなぐ授業拝見」は、ジェネリックスキル育成に成果を上げている「授業」を紹介するもので、その中でも読者の支持が多かったのが、Clip Number 008「弘前大学人文社会科学部社会経営課程企業戦略コース3年次必修科目『ビジネス戦略実習I・II』」だ。
セミナーではまず、モデレーターの近藤(リアセック)より、記事に沿ってこの授業の概要を紹介した。

小写真上:弘前大学森樹男教授/小写真下:リアセック近藤(モデレーター)

3年次の必修科目であること、複数のグループが共通の課題に取り組むのではなく、1グループに1社1課題であること、グループは疑似企業「学生カンパニー」として活動すること、といった特徴を説明し、ジェネリックスキル伸長につながると思われる4つのポイントをあげた。

(1) アイデアコンテストに終わらせないこと
(2) 教員は「事前の企業との適切な課題設定」に力を注ぐこと
(3) 原則として、連携企業と学生の間に教員が介入しないこと
(4) 学生グループを学生カンパニーとして扱い、「本気度」を上げること

右の写真は、学生カンパニーが津軽塗の工房に「外注」したもの

また、ジェネリックスキル(コンピテンシー)の伸長をPROGスコアで示し、特にこの授業との関連で注目されるのが「協働力」「課題発見力」「感情制御力」の伸長であることを述べた。

■コロナ禍への対応「ビジネス戦略実習 2020年度の活動状況」

この「授業拝見」記事は2019年6月の取材に基づくもので、2018年度の成果と2019年度中間発表会までの実施状況となっている。そこで、LIVEにご登壇いただいた森樹男教授には、コロナ禍により対面・訪問が困難となっている中、このようなPBLがどのように実施されるのか、オンラインでどこまで可能なのか、「ビジネス戦略実習 2020年度の活動状況」をお話しいただいた。

中間報告会までの一連の授業をオンラインで実施

取組課題の対応は、大きく3つに分けられる

コロナ禍においてこの実習科目も対面型では実施できなくなり、オンライン型に変更されている。連携企業は10社中8社が継続で、地元の企業もコロナ禍の苦境にある中、学生との協働に多大なご協力をいただいていると森教授は語る。2社の入れ替わりは、昨年度中に決まっていたことで、コロナ禍とは無関係ということだ。


「①オンラインで完結できる課題で実施」の例

中間報告会は、パワーポイントでワイプとナレーションをつけた動画を作成しておき、それをオンラインで視聴した後に質疑応答という形で実施した。

オンラインで今年度取り組んでみての課題としては、取組課題の設定の難しさが増したこと、市場調査が十分にできないこと、成果・ゴールをどう設定するのか、などがあがった。また、コミュニケーションの問題が、連携企業とのやりとり、学生カンパニー内など随所で発生しており、やりにくさを感じている学生もいるという。グループワークも、オンラインで行ってはいるものの、個人ワークの比率が例年より上がり気味という。
最後に、参加者から事前に寄せられた質問への回答を、スライドにまとめていただいた。

■当日の質疑応答(Q & A)

講演中にQ & A機能でいただいた質問に、時間の許す範囲でいくつかお答えいただいた。

Q. 指導教員は途中ではアドバイスはせず、出資者としてのみ関わる、とのご説明でしたが、大学として歯がゆいことはありませんか。途中で指導教員が関わるほうが教育効果が上がるのではありませんか。
A. 理想的には入らないのがいいのですが、完全に入らないというわけではないんですね。基本的な報告・連絡・相談の部分で、企業さんに対するレスが遅いということであれば、もっと早く出した方がいいであるとか、スケジュールが上手く行っていないときの助言であるとか、実際にはそういった指導を、教員のほうでかなりやっているところです。
近藤さんには非常にきれいな形でまとめていただきましたが、実際はそんなに理想的に行っていないところもたくさんあり、けっこうどろどろしながらやっているということです。
Q. 学生カンパニーの編成はランダムに行っているのでしょうか。特に今年度は、チームビルディングが困難だったと思いますが、オンラインでどのように行われたのでしょうか。
A. 学生カンパニーの編成は、ゼミでの専門の学びをこの実習に活かす趣旨で、昨年度からゼミごとにしています。なので、ゼミ活動すべてがチームビルディングになっているといえます。
Q. 本実習に参加するにあたり、準備として受講しておくべき科目はあるのでしょうか。
A. 2年次に「事業計画演習Ⅰ・Ⅱ」という授業があり、企業の事業計画を作成する演習を実施しています。前期(I)は個人、後期(II)はグループワークで、いわばこの実習の予行演習的なことになっています。その授業の中では、マーケティングリサーチの基礎的な手法なども学ぶことになります。
Q. 受け入れ企業の開拓は苦労していませんか。
A. 苦労している部分もありますが、比較的協力的な企業さんが多い状況です。先生方が普段からお付き合いのある企業、あるいは地元の行政の委員会などでご一緒させていただいたところなどにお願いしています。前段階の取組を含めると10年近く継続しており、長くご協力をいただいている企業さんも多いです。

■当日お答えできなかったご質問

時間の関係でお答えできない質問も多かったため、後日、改めて森教授にメールでご回答をいただいた。
「教員が間に入らないと、相手先の企業からクレームなどはないのでしょうか」「コロナが収束した場合、オンライン形式は対面に戻るのでしょうか」から、「必要経費の負担配分は」「成績評価の妥当性をどのように担保されているのか」などまで、幅広にご回答いただいているので、ご興味の方はこちらからPDFをダウンロードいただきたい。

 

■Vol.2予告:学生の働く「意欲」を高める工夫の事例

このVol.1では、弘前大学のPBL授業についての講演を中心にレポートした。コロナ禍に見舞われた今年度の状況もお話しいただき、学生の働く能力(ジェネリックスキル)を高める工夫として、非常に参考になる事例だった。
Vol.2では、学生の働く意欲(職業観)を高める工夫の事例として

講演③ 平澤 竜一 創価大学 キャリアセンター係長
    卒業生とコラボした職業観醸成ワークショップ(Bridge To the Future)

を紹介する。

上段右から、弘前大学森樹男教授(講演②)/リアセック酒井(総合司会・講演③モデレーター)/リアセック近藤(講演②モデレーター)
下段右から、創価大学キャリアセンター平澤竜一係長(講演③)/リアセック角方正幸(講演①)

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