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●緊急記事●文部科学省平成24年度新規事業公募要領を読んで〔第2弾〕

2012/07/11  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

今回の「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」では全国を、北海道・東北、関東甲信越、中部(東海・北陸)、近畿、中国・四国、九州・沖縄の6地域に分けている。そして、大学グループと産業界等で設置する「産学協働のための連携会議」において「地域における産業界等の人材ニーズの把握」を図ることが求められている。

大学グループと地域人材ニーズの関係

さて、この「地域」とは、どのような範囲を考えたらよいのだろうか。地理的な範囲としてまず考えられる都道府県・市町村などの行政区分は、「産業界のニーズに対応」しているのだろうか。

筆者はかつてこの問題を経済産業省のプロジェクトで検討したことがある(経済産業省「人材ニーズ調査」参照、http://www.cin.or.jp/needs2004/needs/pdf/commut01.pdf)。このときは、産業の立地と居住地との関係から「就業圏域」という概念でゾーニングを試行し、通勤交通網(道路、鉄道など)によって集約されるエリアを国勢調査の通勤通学データから検討した。その結果、全国が、3大都市圏と104の通勤圏域に分かれた。つまり、企業立地と就業者の人材のマッチングを想定した場合、このような地域の範囲設定が考えられる。

「人材ニーズ調査」より

「人材ニーズ調査」において以下の1.~3の事項をより精度の高いものとするため、これまでにない新しいくくりである圏域を設定する必要がある。
このため、通勤状況等によって全国のゾーニングを行い、新しい「通勤圏域」を設定する。

1.地域の産業立地パターンの確認
2.地域の求める人材
3.産業構造と雇用の関連

この結果、3大都市圏と104の通勤圏域にゾーニングされ、以下のような3タイプの分類を行うことができた。

・3大都市通勤圏   ⇒ 東京都心6区通勤圏域、大阪通勤圏域、名古屋
・「54」中核通勤圏域 ⇒ 圏域内就業人口が20万人以上の通勤圏域
・「50」中小通勤圏域 ⇒ 圏域内就業人口が20万人未満の通勤圏域

産業立地の特性に応じた議論のために

この結果から、地域別グループといっても東京都や大阪府などの大都市圏と、青森県、秋田県などを含む地方ブロックとでは、事情が全く異なることがわかる。全国一律で議論するには無理があるだろう。

産業界との連携である産学協働は欠かせない視点となっているが、実効性の高いものにするためには各大学がグループを形成するとき、この人材マッチングを想定したエリアの視点を忘れないことが大切だと思う。今回のように大括りなグループ化では産業立地の特性に応じた議論は難しいので、ブロック内の細分化が必要となるだろう。

 

〔第1弾〕の記事はこちら

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