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大学入試に関するコロナ禍の影響まとめ

2021/12/06

コロナ禍が入試・学生募集に及ぼした影響のうち、とりわけ注目されるのが、地域別、学部・学科別の志願者・合格者の増減である。混乱もあった2021年度入試(2021年4月入学者の選抜)と、現在進行形の2022年度入試(2021年4月入学者の選抜)について、大手予備校やメディアなどによるwebサイト上の情報を集め、「キャリアの広場ニュース」に準ずる形式で簡単に紹介する。なお、2021年度入試には「共通テスト元年」の要素もあるが、ここではコロナ禍の影響を中心に取り上げる。

2021年度入試へのコロナ禍の影響

2021年 コロナ禍入試の記録――旺文社教育情報センター 2021/05/25
共通テストなどの入試改革をめぐる問題を含め、2019年11月以降の経緯を時系列でまとめたもの。コロナ禍関連では、影響が表れ始めた2020年3月春休みのオープンキャンパス中止から、2021年1月緊急事態宣言下での共通テスト実施までが含まれている。
キーワードは「3C入試」――駿台によるまとめ 2021/07/05
Compact(地域的にもレベル的にも小さくまとまった)、Conservative(大きな入試変化を嫌った保守的な志望校選択)、Convenience(受験機会や受験料などで受験生に利便性のある大学への人気)の「3C入試」と総括。地域移動に関するコロナ禍の影響としては、国公立大では都市部から地方(特に北海道・東北)への移動減少、私立大では地方から都市部への移動減少を指摘。
一言でまとめると「リスク回避」――リクルートによるまとめ 2021/07/06
自らの感染リスクを含め「コロナ禍リスク」を回避しようと、「学校推薦で年内に進路決定」「地元受験・地元進学」などが増加。オープンキャンパスでの情報が不足し、第一志望の変更は少ないものの併願先などでは知っている(地元などの)大学から選ぶ傾向が強まった。結果として進路選択の満足度は大きく低下している。
大学志願者数の減少幅は3大都市圏で大――内閣府「地域の経済2020-2021」より 2021/09/10
大学志願者数は全国平均で前年度比13.3%減。大学の所在地別では、特に減少幅が大きいかったのが、近畿圏14.9%減、東海14.6%減、東京圏13.5%減。それ以外の地域もすべて減少ではあるが、中国(7.2%減)、関東・甲信越(7.7%減)など、三大都市圏に比べれば小幅な減少だった。
内閣府「地域の経済2020-2021」のコラム「2021年度の大学入試の志願状況への感染症の影響」が示した数字。河合塾「大学入試情報」、文部科学省「国公立大学入学者選抜確定志願状況」をもとに作成。
志願者の増減とその理由――大学通信によるまとめ 2021/08/27
志願者が増減した大学、学部・学科、入試形態を具体的に挙げ、その理由を探る。
東京工業大学、お茶の水女子大学、電気通信大学の志願者減は、地方からの受験の減とみられる。一方で山口大学、神戸大学、茨城大学、九州大学と、地方国立大学に志願者増が目立つ。早稲田大学では関東以外からの志願者(高卒認定などを除く)が、前年よりも4600人余り減少。「関東ローカル化」が進んだ。学部・学科では国際系学部が大幅に志願者を減らし、入試形態では総合型選抜の倍率が低下した。
コロナ禍のさまざまな作用――河合塾によるまとめ 2021/06/30
大学志願者数の減少は、家庭の経済状況の悪化、受験による感染リスクへの懸念拡大、オープンキャンパスや大学説明会の中止で幅広く併願校を探す機会を失ったことなどが影響か。コロナ禍対策で二次試験を中止した信州大(2学部)、宇都宮大、横浜国立大なども志願者を減らした。
資格取得につながる分野の学部は志願者が増加。自宅から通える大学を受ける地元志向も強まった。
コロナ禍も影響し、多くの大学で大幅な志願者減――代々木ゼミナールによるまとめ 2021/03/11
私立大学志願者数ベスト20のうち、日本大、早稲田大、法政大、東洋大、立命館大、関西大、中央大など13大学が前年比1割以上の志願者減。地方の受験生が利用しやすい全学部入試方式の志願者の減少率も一般入試より大きいことから、受験時の移動だけでなく、都市部の大学への進学自体が敬遠されていると分析。早い時期に対面授業中心を打ちだした立教大、龍谷大、上智大などは志願者を増やしている。
国公立大学入試にみるコロナ禍の影響 2021/07/19
文部科学省統計資料「国公立大学入学者選抜の志願状況等」をもとに開成教育グループが分析。
道外からの流入率の高い北海道大学、東日本からの流入率の高い東京工業大学が大きく志願者を減らしている。中四国地方の国立(10大学合計)の志願者数が下げ止まり、微増に転じているのは、近畿圏の私大で減ったと言われている中四国からの受験生が地元の国立に留まったものか。
理高文低、医学系が増加――高校生新聞online 2021/02/05
共通テスト受検者の自己採点結果「データネット2021」(駿台・ベネッセ共催)をもとにした駿台教育研究所の解説。(1)理高文低、医学系が増加、(2)現役生が極端に強い(現役の上位層はコロナ禍による休校や部活休止でできた時間を勉強にあてた)、(3)地方の高校生は東京の中堅校より地元の上位校に強気の出願か、の3点を特徴として挙げている。
東大の推薦合格者、関東以外の割合減はコロナ禍が影響か――朝日新聞 2021/02/17
学校推薦型入試(定員100名)で、関東地方以外からの出身が54.3%と過去2番目の低さ。「コロナ禍で、いまの東京には出て行きたくはない、地元で大学に行きたいという生徒が多い」(地方高校からの聞き取りに基づく大学側の分析)。

2022年度入試へのコロナ禍の影響

2022年度入試の受験環境――河合塾 2021/10/07
「新型コロナウイルス感染症に対する入試での配慮」の項で、追試験、振替受験などの概要をまとめ。入試直前の変更(共通テスト後に2次試験中止の発表など)が受験生の混乱を招いた2021年度入試の例を受けて、各大学は「入学者選抜要項公表(7月末)後、受験生に不利益を与える恐れのある教科・科目の変更や個別試験の中止などを行わない」よう求められている。
大学側で感染や学費の不安を軽減する入試対策も進む――駿台 2021/10/11
移動を避けて感染リスクを減らしたいという意識の強さ、経済的負担の不安、受験生の関心が年内入試に向けられる傾向などを受け、地方受験会場の設置、共通テスト利用入試拡大、全学部統一入試導入、受験検定料の免除・割引、学校推薦型で指定校の枠を拡大、などを行う大学が増えている。
11月頃の時点でコロナ感染が拡大していれば、3C入試が続く――駿台教育研究所 2021/08/26
早めに合格を確定するため、国公立大学を避けて、私立大学の総合型選抜や学校推薦型選抜に流れる動きを予想。学部・学科別では医学、薬学などのメディカル系と理工系が堅調。文系は、志願者が減っていた経済・経営・商などが多少、持ち直している。国際系は不人気が続く。私立大学は、早稲田大や慶應義塾大が堅調。東京理科大は理系人気で志望者増。関西の私立大学は全体に低調。
以上は8月時点での分析で、「11月頃の時点でコロナ感染が収まっていれば、今とは反転する」とも付言している。
コロナ沈静化で志望動向に変化が――駿台教育研究所 2021/12/02
10月模試で表れた、7月までの模試とは異なる傾向を中心に分析。
国の経済対策などで景気の回復が見えてきたため、国公立・私立ともに経済・経営・商は志願者数が増加。外国語・国際は海外留学再開の目途が立たず、学費が高いこともあり、コロナの影響がまだ大きい。上位校(旧帝大、筑波大、千葉大、早慶など)では、地方からの受験生が戻ってくる。MARCHや日東駒専は、宿泊を伴う移動を避けられる共通テスト利用が進む。
コロナ対応に慣れたことで変化の兆しはある――代々木ゼミナール 2021/08/30
コロナへの対応に慣れた大学が、オープンキャンパス、オンライン・バーチャルツアーなどを実施。前年は中止の多かった各社の模試も今年度は実施できており、受験生が志望校を決定するための情報は増えている。地元志向(地方から東京に行くことを避ける)、資格志向は続きそうだが、「入学してもオンライン授業なら地方から首都圏の大学に行く意味がない」といわれた昨年と状況は変わりつつある。
地方から東京の大学への志望が戻りつつある――河合塾 2021/11/30
10月模試で見られた傾向として、北海道や九州、中国・四国から首都圏の大学志望が復調しつつあり、コロナの沈静状況が続けば、東北や甲信越からも戻ってくる可能性がある。学部・学科別でも、21年度に比べるとコロナ前に近づいているが、外国語、国際関係は引き続き低調。法・政治系をはじめ文系の志望が戻りつつあるが、全体では「文低理高」が再来年頃まで続くと見ている。

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前回:コロナ禍における学生のメンタルヘルスへの取組

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