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コロナ禍における学生のメンタルヘルスへの取組

2021/06/22

コロナ禍においては、全般的な社会不安に、大学生活における各種制限・自粛などが加わり、学生の精神的な負担はかなり大きい。各大学が学生のメンタルヘルスについて、どのように状況を把握し、その悪化を防ぐ取組をどのように行ってきたか。各大学などがwebサイトに公表している情報を集め、「キャリアの広場ニュース」に準ずる形式で簡単に紹介する。学生がこころの健康を保つための大学の取組に、ご参考になれば幸いである。

学生のメンタルヘルス状況の調査

55%の学生が「こころの調子が悪くならないか」に不安――静岡県立大学・同短期大学部の学生に対するアンケート 2020/05/12
調査期間は2020年4月24日~5月1日。回答総数は1604件で、静岡県立大学・同短期大学部の学生の過半数にあたる。「自分のこころの調子が悪くならないか(もう悪くなっている場合を含む)」について、「非常に不安・不安・少し不安」の計は55%。「友だちのこころの調子」も同じく55%が不安と回答している。
約4割の学生が、「気分の落ち込み」「孤独感・孤立感」を回答――九州大学「学生生活に関する学生アンケート(春学期)」 2020/08/11
調査期間は2020年6月1日~6月9日。有効回答数は5888名(学部生4328名、大学院生1560名)。
直近の1カ月の精神状態を問う設問では、「気分が落ち込んでいる」「孤独感や孤立感を感じる」に約40%が「あてはまる」「ややあてはまる」と回答。体調についての設問では、「疲れる、根気がない」「寝つきが悪い、眠りが浅い、よく眠れない」「いらいらする」などが2019年度の調査と比較して増えており、ポストコロナにおいてメンタル面の不調が増えていることがうかがえる。
男女ともに回答者の1割以上に中等度のうつ症状――秋田大学調査「全国緊急事態宣言による自粛が及ぼす大学生のこころとからだへの影響」 2020/08/28
調査期間は2020年5月20日~6月16日。有効回答は学部生・大学院生2712件(回収率53%)。
男性で回答者の10.3%、女性で11.5%に中等度うつ症状がみられた。喫煙・飲酒などのリスク因子、運動、相談できる人の存在などの緩和因子についての知見も得られた。

学生のメンタルヘルス改善についての大学の取組

亜細亜大学カウンセリングセンター、「つながろう1.2年生」をテーマにグループワークを開催 2021/05/17
通常の大学生活を経験できずに進級した2年生と新入生を対象とし、大学のオンライン授業や生活に関連した困り感や不安を少人数で共有するグループワークを、5月24日と6月2日の昼休みにオンライン(Zoom)で開催。募集定員は10名、昼食を食べながらの参加も可。
九州大学、メンタルヘルス支援スマホアプリ「Q-Mental APP」の無料配信を開始 2021/05/11
メンタルヘルス疾患の簡易スクリーニングなどが可能なスマホアプリ「Q-Mental APP」をリリース。試作段階から学生に使用してもらい、使用者の精神健康度が改善することを確認、デザインや使用感についてもブラッシュアップを重ねて完成に至った。九州大学生向けに作成されているが、相談先をカスタマイズすることで、他大学でも活用が可能。
「オンラインメンタルヘルス相談で見えてきたもの」岐阜大学のケース――全国大学生協連「Campus Life」vol.65 2021/06/01
「with~after コロナの学びを支える ―心身の健康が礎にある―」を特集テーマとした全国大学生協連「Campus Life」vol.65の記事の1つ。岐阜大学 保健管理センター(教授・精神科医・産業医)西尾彰泰氏が、例年とは異なった2020年度の相談内容の特徴などをまとめ、「after コロナに大学・学生に望むこと」を語る。

コロナ禍におけるメンタルヘルスに関する研究

コロナ禍における大学生のうつに「自粛生活不安」が強い関連――「新型コロナウイルス感染拡大が大学生に及ぼす心理的影響」(岩手大学教育学部 藤井義久)
「大学生版COVID-19感染拡大不安尺度」(暫定版)を作成し、COVID-19感染拡大不安は、自粛生活不安、感染不安、大学生活不安、経済的不安、部活不安、予期不安という6つの因子からなることを明らかにした。さらに、コロナ禍における大学生の不安とうつとの関連性を検討すると、全体および女性では「自粛生活不安」、男性においては「経済的不安」が特に強い関連が見られた。
オンラインのイメージ法指導でストレスを軽減――「大学生を対象としたイメージ法を用いたオンラインによるストレスマネジメント教育」(大阪府太子町役場子育て支援課 古川依里香、大阪大谷大学教育学部 五位塚和也)
コロナ禍における大学生への心理学的支援として、オンラインによるストレスマネジメント教育の有効性を検討した研究論文。2020年6月に、イメージ法を用いたストレスマネジメント教育を、ZOOMを利用した同時双方向型の遠隔授業で27名の学生に実施。イメージ法によりリラックス感が得られ、緊張や抑鬱、混乱、疲労、怒りなどの不快な気分が軽減し、活気といった快の気分が増大したことが示された。
筑波大学、新型コロナウイルス緊急対策のための大学『知』活用プログラム ウェブサイトを公開
学内公募型研究資金「新型コロナウイルス緊急対策のための大学『知』活用プログラム」を2020年5月に発足、7月15日には専用のウェブサイトを公開した。「こころ」のカテゴリーでは「ひきこもりから学ぶ新しい生活様式」「RE-COVER:各国のコロナ疲れと心理的レジリエンス」などの研究プロジェクトの取り組みや研究の進展を発信している。

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次回:コロナ禍の大学入試への影響編
前回:コロナ禍におけるインターンシップ・PBLの取組

コロナ禍対策共有プロジェクト

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