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『PROG白書2024』の発行予定と内容紹介

企業人4000人調査で認知・非認知能力と仕事評価の繋がりを解明

2023/12/25  タグ:  

角方正幸(「キャリアの広場」責任者/____
リアセックキャリア総合研究所所長)

今年も1年間「キャリアの広場」をご覧いただきありがとうございました。2011年9月からスタートしたこの広場も今年の秋で丸12年が経過しました。この間、キャリア総合研究所では4度にわたり「PROG白書」を取りまとめてきました。前回の白書(2021.12)では、13大学の卒業生調査を基に「大学教育とキャリアの繋がりを解明」し、有識者からの貴重なコメントと教育改革への視座をいただきました。
今回の『PROG白書2024』はその延長線上ともいえる問題意識から、企業人の仕事・能力・学びと働き方志向相互の関連を明らかにします。これは、多くのPROGを利用する企業でも特に関心の高いテーマです。そのため企業で働く全国4000人への調査を8月に実施し、現在分析中です。

調査の特徴

今回実施した調査の特徴は以下の3点です。

企業で働く4000人(男女2000人ずつ)(25~49歳)への全国調査

仕事や学びに関する質問紙調査とともに、リテラシー(認知能力)、コンピテンシー(非認知能力)調査(PROG受検による能力の客観的把握)を併せて実施

ジョブ型雇用・メンバーシップ型雇用の現状と希望にも着目して分析

前回の白書では、学生時代に獲得したリテラシーとコンピテンシーが、社会人になってどのように仕事に繋がっているのかに焦点を当てました。一方今回は、企業で働く社会人の現在のリテラシー(認知能力)とコンピテンシー(非認知能力)が仕事評価や満足度、そしてキャリア自律とどのように関係するかに注目しています。

大学での成績は、仕事に関わる意識・行動の指標となるのか

大学関係者にとって、大学での成績や大学生活満足度と卒業後の仕事・キャリアとの関係は気になるところです。そこで、企業人を対象とした今回の調査でも、大学時代の成績と大学生活満足度の2項目を尋ねています。

表1 大学の成績・満足度と仕事評価・キャリア自律との相関

仕事評価 キャリア自律
 大学の成績 .126** .139**
 大学生活満足度 .256** .251**

これを見ると、大学の成績は、仕事評価、キャリア自律とプラスの相関がある(**=1%有意)ことが分かります。企業の採用現場では「大学の成績は仕事が出来る出来ないと無関係」と無視する声がありますが、今回の結果を見る限り、大学の成績は仕事の評価と一定の関係がありそうです。さらに、「大学生活満足度」は仕事評価との相関が「成績」よりも高いことが分かります。キャリア自律との相関にも同様の傾向があります。つまり、成績もさることながら大学生活4年間を満足して過ごすことが、将来の仕事やキャリア展望にプラスの効果を及ぼすのです。

参考図書のご紹介

今回の白書では、2022年5月に経済産業省から発表された「人材版伊藤レポート2.0」を調査企画のベースとしています。また、以下の4冊が調査を企画、分析するうえで有益な情報源となりました。『PROG白書2024』の参考図書として、読者に一読をお勧めします。この冬休みを利用して、是非、学習してみてはいかがでしょうか。

1)企業が求める〈主体性〉とは何か―教育と労働を繋ぐ〈主体性〉言説の分析―
著:武藤浩子 出版:東信堂 2023.5
2)今に生きる学生時代の学びとは―卒業生調査に見る大学教育効果―
著:矢野眞和 出版:玉川大学出版部 2023.6
3)インサイドアウト思考―創造的思考から個性的な学習・ライフの構築へ―
著:溝上慎一 出版:東信堂 2023.8
4)高校・大学・社会 学びと成長のリアル―「学校と社会をつなぐ調査」10年の軌跡―
著:溝上慎一(責任編集)
河合塾編
出版:学事出版 2023.10

☆PROG白書2024は2024年5月末に発行予定

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