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●緊急記事●文部科学省平成24年度新規事業選定に厳しい結果

2012/09/24  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

予想外の厳しい選定

9月上旬には公表される予定だった文部科学省の「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」選定結果は、公募要領の公表時期と同様に大幅に遅れ、9月20日にようやく明るみになった。
その結果を見ると、申請9グループすべてが選定されるとの予想は覆された。関東甲信越地域で武蔵野大学を幹事校とするグループは不選定、近畿地域で大阪府立大学を幹事校とするグループと中国・四国地域で島根大学を幹事校とするグループは改善事項付き選定となった。
このように厳しい結果となったのはなぜだろうか。選定結果の講評や採択された8グループへのコメントを読みながら、その理由を考えてみよう。

広域の大学・短期大学の約20校が十分な話し合いの場を持つ難しさ

荻上紘一委員長は選定結果についての所見において、

一つの都道府県域を超えた、広域の大学・短期大学が国公私立の枠組みを超えて大学グループを形成し、地元の産業界、経済団体、自治体等との協力体制の下、「インターンシップの高度化」や「キャリア教育の改善・充実」等、設定した共通の取組テーマを推進し、それらの成果を共有することにより、学生の社会的・職業的自立に資する教育の改善・充実を図るものである。

と事業目的を確認している。

ここから明らかなのは、今回の事業計画をまとめるためには、都道府県域を超えた、広域の大学・短期大学の約20校が十分な話し合いの場を持つ必要があったということだ。限られた時間の中で、IT環境が整っているとはいえ参加大学は積極的に意見交換を行い、議論を深めることができただろうか。幹事校は、必要とされるリーダーシップを十分に発揮して各校の意見を調整することができただろうか。こういったことが、不選定もしくは改善事項付きという結果につながったと思われる。
その背景にあるのはまず、大学間連携の問題点としても指摘したとおり、大学という組織が一般的にこの種のマネジメントを不得手としていることだ。また、今まではこのような大学間の連携や、産業界・自治体との強い結びつきの機会や必要性がなかったという、経験不足の要素も大きい。さらに、今年度似たような趣旨で「大学間連携共同教育推進事業」という新規の事業があったことも一因だろう。

厳しい結果を受け止めたうえで前進を

不選定になった申請大学は混乱しているだろう。十分な情報を共有できないままに、結果だけを聞いても納得できないのではないか。この選定結果の終わりに、

なお、本事業は追加公募を検討しております。実施の場合は改めてお知らせいたします。

とあった。今回の結果が不本意だと思われる大学は、ぜひ再チャレンジしてほしいと思う。
平成22年度に始まった「大学生の就業力育成支援事業」では、外部専門家が多くの大学で任用され、地歩を築いてきた。今回のことが理由で活躍の場が奪われることのないよう期待したい。

 

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