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今年度の就職戦線を振り返って

2012/10/02  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

10月1日、各地で来春入社予定の内定式が行われた。ここ数年厳しい就職環境が続く中、8月までの各種内定率調査速報をみると今年は前年に比べて若干回復しているようだ。
10月以降も引き続き中小企業を中心に活動が続くものの、9月までの動向を振り返り、今年度の就職戦線をひとまずまとめてみたい。

■倫理憲章変更に伴う開始時期の2か月遅れ問題

日本経済団体連合会は2013年卒向け倫理憲章で、広報開始時期を12月1日、選考開始時期を4月1日と定めた。この改定により就職情報サイトを含めた広報開始が10月から12月に移行した。このスケジュール変更により、今期の動きで学生と企業の活動が前年と比べどのような変化があったのだろうか。
まず、学生側の変化をみてみると開始が2カ月後ろ倒しになったため、エントリー数は減少し、説明会/エントリー/面接の時期も動きが遅くなった。一方、企業側の面接開催件数は3月から4月にかけて増加し、短期に集中する傾向がでてきた。その結果、少なからぬ学生が業種や仕事の理解が浅く、最終面接の段になって改めて志望動機を確認する等のケースがでてきている。
今回の変更はスタート時期を遅らせたものの、内定出しの時期はそのままであったため、助走期間としての企業研究や自己理解に費やす時間が犠牲になったと思われる。

学生1人あたりエントリー社数は前年同時期比で約3割減少
2012/03/01 発表元:エン・ジャパン株式会社
http://corp.en-japan.com/newsrelease/detail.php?id=718

2013年新卒採用は、プレエントリー数、説明会参加社数とも減少
2012/06/21 発表元:東洋経済Online
http://www.toyokeizai.net/business/management_business/detail/AC/
04c0d7ee72cdd9bdbd100ea12a34223c/

選考一斉スタートの4月、前半には7割以上の学生が面接
2012/05/15 発表元:株式会社マイナビ
http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/monitor/data/monitor_2013_5.pdf

業界理解・企業理解の不足を再認識――「2012年度就職戦線総括資料」
2012/08/02 発表元:株式会社マイナビ
http://saponet.mynavi.jp/material/saiyousoukatsu/12soukatsu/pdf/12chapter-all.pdf

■大卒求人倍率は1.27倍で、前年の1.23倍よりわずかに上昇

リクルートのワークス研究所が4月に発表した大卒求人倍率は、1.27倍と、前年(1.23倍)より+0.04ポイントとわずかに上昇した。求人倍率が前年に比べて上昇したのはリーマンショック後初めてで、2008年3月卒以来5年ぶりである。
従業員規模別に求人数の対前年増減率を見ると、5000人以上企業は+3.6%、1000~4999人は+2.2%、300~999人は-0.4%、300人未満は-3.4%となっている。大企業と中小企業において求人数の増減に差があり、雇用の回復は大企業で顕著であるものの、中小では反対に厳しくなっているのが特徴だ。
一方、学生の希望動向をみると中堅中小企業(従業員数1000名未満)を希望する学生数がここ3カ年増加傾向にあり、今年も前年比+1.4%増加した結果、1000名未満を希望する学生数は過去最大となった。したがって、企業規模によるミスマッチは改善される傾向にあり、中堅中小企業にとっては学生数確保の機会が広がってきた。

求人倍率は1.27倍で前年よりわずかに上昇
2012/04/25 発表元:株式会社リクルート・ワークス研究所
http://www.works-i.com/?action=repository_uri&item_id=964

■内定率は前年に比べ若干高めで推移

リクルートやマイナビなど民間の就職内々定率調査をみると、内々定出しは4月、5月に集中し、内々定率は前年を少し上回っているようだ。求人倍率の改善がそのまま内々定率にも表れている。
「2013年卒マイナビ大学生就職内定率調査」によれば、5月時点での内々定率は対前年6.6ポイント増の42.5%となっている。昨年は震災の影響があり、そのまま比較はできないが、その前の11年卒比でも1.1ポイント増加し過去2年を上回っている。

内々定出しは4 月集中――「2012年度就職戦線総括資料」
2012/08/02 発表元:株式会社マイナビ
http://saponet.mynavi.jp/material/saiyousoukatsu/12soukatsu/pdf/12chapter-all.pdf

5月末時点の内々定率、4割を越える
2012/06/12 発表元:株式会社マイナビ
http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/naiteiritu/data/naiteiritu_2013_3.pdf

就職志望大学生の内定率(6月1日時点)は48.0%
2012/07/03 発表元:株式会社リクルート
http://www.recruit.jp/news_data/library/pdf/20120703_02.pdf

■10月以降の就職戦線

昨年の11月に文部科学省から発表された2012年卒の10月1日現在の大卒就職内定率は59.9%であった。今年はこの数字よりは改善されることが見込まれるものの、やはり4割近い学生が未内定の状態で10月を迎えていると思われる。したがって、今年もこれから未内定者への支援が各大学とも必要となってくる。
しかし、今年の後半戦は昨年以上に厳しいことが予想される。というのも、今年の傾向として規模別のミスマッチが比較的解消されてきたことと、主たる就職先となる中小企業の採用意欲が落ち込んでいることがある。特に300人未満の企業では対前年-9.0%と減少幅が大きい。
また、この先の景気見通しとしてヨーロッパの景気後退や日中韓の領土問題など懸念材料が多く、景気後退感が強い。したがって、例年以上の就職支援体制をとらないと、未内定者の内定確保が進まないのではないか。結果として、3月末には前年を下回ることも予想される。

前年同時期より若干の向上――平成23年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(10月1日現在)
2011/11/18 発表元:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/11/__icsFiles/afieldfile/2011/11/18/
1313317_1.pdf

中堅・中小企業志向が過去最高の59.2%
2012/03/21 発表元:株式会社マイナビ
http://saponet.mynavi.jp/enq_gakusei/ishiki/index.html

景気の先行きを懸念、新卒採用は来年も冷え込みか
2012/04/16 発表元:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/syuukatsu/snews/20120416-OYT8T00188.htm

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