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文科省「産業界のニーズ~事業」地域グループ間の取組概要比較

2013/03/05  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

昨年末、平成24年度「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」の選定取組概要資料が公表され、追加の2地域を除き8つの地域グループの取組概要が示された。この情報をもとに地域グループ間の取組比較を行ってみた(表1参照)。
【記事更新】2月21日同様に公表された追加2地域の取組概要に基づき表1を更新した。

表1

地域グループ(幹事校) 共通プログラムの開発 インターンシップの高度化 評価方法の改善 産業界ニーズの把握 特定分野での連携 特定地域での連携 産業界との連携体制
北海道・東北(秋田県立大)
(備考:早い段階から将来目標を意識させる
正課外の取組)
注1
首都圏(青山学院大)
(備考:技術者の養成、測定手法の開発)
関越(新潟大)
(備考:卒後のキャリア)
中部(三重大) 注2
滋京奈(京都産業大)
兵庫・大阪・和歌山(大阪府大)
(備考:ICTの効果的な利活用)
中国・四国(島根大)
九州・沖縄(福岡工大)
関東山梨(電通大)
中国・四国(高知大)
注1)北海道、北東北、南東北
注2)北陸、東海A、東海B、静岡

 

この比較表から、以下のような傾向が読み取れる。

キャリア開発支援系の授業や主体的学びを促進する等の[共通プログラムの開発]はほとんどの地域で取り組んでいる。
次いで[インターンシップの高度化]に関する取り組みが多い。これは今回の事業目的が産業界との連携に重きを置いていることに起因している。
[評価方法の改善]についても多数の地域で取り組んでいる。
[産業界ニーズの把握]については地域によってその手法が異なる。なかでも、首都圏グループと兵庫・大阪・和歌山グループは、産業界ニーズの把握そのものを研究課題に挙げている。
一方、[産業界との連携体制]の構築や改善を目的に取組んでいるところは少ない。
[特定地域での連携]は意外と少なく、地域が広範囲にわたる北海道・東北地域と中部地域の2地域。

 

この資料からだけでは詳細は不明だが、取組概要資料から見ると、8地域ともに目的は同じである。本事業が目指すところに合致したものだから、当然のことといえる。しかし目的は同じでも、その手法やアプローチの仕方は地域によって異なっている。大事なことは、各地域での取組から今後生み出される成果を、客観的に比較することだ。地域ごとに成果が異なったとき、それが方法論によるものなのか、地域経済環境の相違などによるのかなど、さまざまな角度から複合的に考察する必要がある。そのような論理的な考察から、大学教育改革への有効な処方箋を明らかにすることができるだろう。そのためには、プラスの成果だけを公表するのでなく、失敗も含めた結果の共有が望まれる。

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