学ぶと働くをつなぐ授業拝見[Clip Number 003] 北海学園大学×グローヴエンターテイメント・名鉄観光サービス

北海学園大学経営学部「伊藤ゼミ」

2017/01/25 タグ：事例紹介, 学ぶと働くをつなぐ授業拝見

専門教育の実践の場としての企業コラボレーション

北海学園大学経営学部伊藤ゼミ（3年生）では、学生が企業からの課題解決に主体的に取り組んでいる。あらかじめ講義で学んだマーケティング学を実践することで学問と社会との結びつきを体験するプログラムである。
19名の学生は4つの班に分かれ、企業が抱える具体的な課題を提示され、それに対して学生たちが議論しながら、企業訪問したり、学生アンケートやヒアリングなどの市場調査を行ったりしながら、独創的なアイディアを企業に提示する。
今年度はブライダル業のグローヴエンターテイメント、旅行業の名鉄観光サービスの2社の協力を得た。

地域活性化につながるウェディングプランを提案せよ

10月11日、グローヴエンターテイメント株式会社の課題「北海道の地域活性につながるウェディングプラン」の報告がなされた。

A班のプラン

コンセプトは”男ウェディング”。
男性のプロポーズをサポートすることで、男性目線で結婚式の在り方を捉えなおし、依頼者に合った形のプロポーズプランを考える。場所は富良野ガーデン。美しくなりたい、非日常を味わいたい、満足を得たいというニーズを合わせて式をプロデュースする。引き出物は富良野の名産物を使うことで地元経済の活性化にもつなげる。

B班のプラン

写真旅行と結婚式を組み合わせたプラン。
北海道の四季には折々に素晴らしい自然の風景がある。春は滝川の菜の花畑、夏は雨竜の蛍、秋は美瑛の紅葉、冬はニセコのパウダースノー。地域住民とも連携しながら結婚式イベントを作り上げていく。素晴らしい景色の写真を撮ることで夫婦の最高の思い出になるだけではなく、その写真をSNSなどの手法で拡散させることでその地域を広く知らしめ、リピーターにつなげる。

インバウンド向け北海道旅行プランを提案せよ

10月18日、名鉄観光サービス株式会社の課題についての報告がなされた。インバウンド消費を取り込むことは旅行業界の重要な課題の一つである。

C班のプラン

「五北旅」と名付けたプランを、「北海道を五感すべてで感じてもらう」をテーマに夏・冬それぞれ設計した。
小さな子供がいる東南アジアからの家族旅行者をターゲットとし、北海道旅行リピーターになってもらうようにした。ルートは登別→小樽→札幌を5日間で巡るツアー。定番スポットの観光地や温泉、果物狩りや海釣り体験など子供でも楽しめる内容を考案した。
旅行業界では近年、安全管理のコストを削減したことを一因とする事故が問題視されているため、旅行会社とバス会社がきちんと連携し、双方に利益が出る仕組みについても言及した。

D班のプラン

台湾の法人企業をターゲットにした「北海道DE北上ツアー」を提案。
アジアの旅行会社と取引する場合、直前キャンセルが大きな課題となっている。そのため親日志向であり、マナーや礼儀が良いという印象の台湾人を対象とした。台湾人の日本旅行のリピート率は高く、北海道の魅力を十分に伝えられれば収益にもつながると考えた。東京を出発し、新幹線を使って北上し、北海道の観光名所をバスで巡るツアーを提案した。

参加学生に自己効力感向上、キャリア観醸成などの効果

プロジェクト参加学生の能力伸長について、今回は客観的なアセスメント等を通じての測定は行われなかったが、学生のコメントを見ると「企業訪問やプレゼンテーションを見てコメントをいただけることはとても貴重な機会であり、これから自信となっていくと思います。」など自己効力感向上につながる内容が寄せられた。
また、「実際に働いている方と接したことで様々な刺激を受け、自分の仕事観を見直す良い機会になり、将来の方向性も定まるなど発見が多く、充実したプロジェクトになりました。」というコメントのように、自らのキャリア観が醸成されるコメントもあった。
一方、「自分の知識不足を感じ、これからもマーケティングの学習に力を入れていこうと感じた。」など自らの課題が明確になり、今後の学業への姿勢の変化も見られた。