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大学COC構想と就業力の育成

2013/03/29  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

平成25年度より「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」が始まる。文科省の説明会も3月1日に行われ、各大学は申請に向けて準備を進めている。そこで、この事業を就業力の育成という観点から考察してみたい。
というのも、この広場で取り上げた事例紹介のVol.9(高知大学)、Vol.10(松本大学)はまさにCOC事業のねらいにぴったりで、COC構想は就業力育成とも密接に関連するからである。文科省の大学改革実行プラン(平成24年6月5日公表)も、8つの基本的な方向性のうちの1つに大学COC機能の強化を挙げ、松本大学をその参考事例として紹介している。

大学COC(center of community)構想とは

大学等が自治体と連携し、地域の課題を直視して解決に当たる全学的な取組(地域人材の育成・雇用機会の創出、地域活性化・地域支援の取組、産学連携・地場産業の振興など)を支援することにより、様々な人材や情報・技術が集まる地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能を強化すること。
つまりは地域志向のもとで、地域における知の拠点としての大学の役割を強化し、推進する大学を重点的に支援する構想である。

図版出所:「地(知)の拠点整備事業」について
_____(文部科学省高等教育局大学振興課 2013年3月1日)

「地(知)の拠点整備事業」の目標

本事業のねらいとして、①学長のリーダーシップの下、大学のガバナンス改革を推進、②各大学の強みを活かした大学の機能分化を推進、とあり、これによって「地域再生・活性化の核となる大学の形成」が謳われている。
つまり、本事業は一学部や一学科の取組でなく、学長の強力なリーダーシップのもと新たな大学づくりや大学改革を全学的に目指す大学に限定し、地域再生の拠点となるような大学機能の強化を目的としている。このことは、特に地方国立大学・公立大学の存在意義と深くかかわってくるだろう。

就業力育成の視点から

就業力の広場の事例紹介で取り上げた最近の事例、松本大学での「地域づくり考房『ゆめ』」高知大学での「社会協働教育、CBIからSBIへ」、そして、小樽商大の「地域連携キャリア開発」(通称「本気(マジ)プロ」)はいずれも、地域とのかかわりの中で学生の就業力育成を図ったものであった。地域とのかかわりは、インターンシップやPBLタイプの授業を実践していく上で今まで以上に求められる要素であるとともに、就業力育成方法としても有効な手段となる可能性が高い。この意味から本事業の成果を大いに注目したい。

また、大学の組織マネジメント、組織改革という視点からも注目したい。というのも前項で示した通り、この事業は大学のガバナンス改革や機能分化の推進を図っている。この観点でみれば、先行する文部科学省の平成22年度「大学生の就業力育成支援事業」(すでに終了)、平成24年度「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」とともに、大学自身の教育改革を迫るものである。研究者養成を求めない多くの大学群にとって、社会(産業界や地域社会)が求める人材を如何に育てるか、教育の専門機関として根本的な見直しを迫られている。そして、そのためには何よりもトップの強力なリーダーシップとそれを実践するための組織開発が不可欠と考える。

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