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地域グループ公式サイト構築・運営のポイント

文科省「産業界のニーズ~」事業

2013/09/27  タグ:  

当「就業力の広場」では8月9日の記事で、平成24年度から実施されている「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」の全10グループの公式webサイトを見比べてみた。その記事で総合的に最も評価が高かったのは、「滋京奈」「九州・沖縄」の2グループのサイトだ。2つのサイトが、どのような構築方針や運営体制に支えられているのか、運営担当者に、工夫した点、苦労している点や今後の展望などについて取材した。

事業成果をグループ内に留めず、社会に情報発信

滋京奈(幹事校:京都産業大学)

取材対応者:大西達也氏@京都産業大学 就業力育成推進室兼進路センター 課長補佐


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Q.1 特に工夫された点、心がけた点は何ですか?

A._ 本事業を含め国の補助事業は、その成果を自学や自グループに留めず積極的に社会に還元していくことが義務づけられています。特に幹事校は責任を持って情報発信に努めなければならず、webサイトの運営はその一環と考えています。このような観点から、分かりやすさと情報更新性の高さを心がけました。
幹事校がすべてを担うと、機動力を失い、更新性が下がってしまうので、4つある部会ごとのページは、各部会のリーダー校に更新を任せています。詳細な議事録などは必要に応じて別途公開することとして、web上には簡潔なものをできるだけ早く公開するよう、各リーダー校にはお願いしています。簡潔さは分かりやすさにつながりますし、逆に、複雑にしていくと、メンテナンスに手間がかかり、更新性も下がって、「社会に向けての情報発信」という目的を果たせないと思います。

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Q.2 外注と内製の切り分けはどのようにされていますか? また、おおよその予算は?

A._ 構成、デザイン、サーバ設置など、立ち上げ時の作業は外注し、初年度にかかった費用は約100万円弱でした。その後のページ更新は、各大学が直接サーバにアクセスして実施しており、セキュリティ管理などのサポートのみ、月1万円程度の費用で業者に委託しています。また、連携16校で運営していくものであるため、外部サーバの利用レンタル料もかかっていますが、さほど高額なものではありません。
助成期間が終わった後、この成果を引き継いで産業界と大学との連携をどう深めていけるか、そのためにこのようなwebサイトが何らかの役割を果たせるか、ということを考えると、継続的な負荷は手間の面でも費用の面でもできるだけ小さくしておくのがよいと考えています。

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Q.3 特に苦労されている点、改善が必要だと思う点は何ですか?

A._ 工夫すればするほど、次の新たな課題が出てくる面はありますが、現在特に困っていることはありません。
個別大学の取組の情報発信が弱い、グループ内部の関係者のみの機能がない、といった「弱点」はご指摘のとおりです。内部限定のコミュニティ機能は議論のうえで採用しなかったものなので、今のところ追加する予定はありませんが、個別大学の取組の紹介は、多少改善の余地があると思っています。

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Q.4 今後はどのような運営・展開をお考えですか?

A._ サイトの主目的である「社会への情報発信」はある程度できていると思いますが、その情報は「活動報告」にとどまり、この事業の「成果」を公表する段階には至っていないのが現状です。今後は事業自体の進行に伴い、連携活動の成果をどのように分かりやすく発信していくのか、ということがwebサイトにも問われると思っています。そのためには、グループ内部の意見集約はもちろんのこと、外部の方の声を聞くことがたいへん重要です。2014年の2月28日には、連携する16大学10団体以外のご意見を伺うフォーラムを開催する予定ですし、他地域で本事業に参加している大学との意見交換なども随時行っていきます。
連携事業といっても参加大学すべてが同じことをするわけではなく、各大学は、連携活動を生かしつつ、それぞれ特色ある取組でそれぞれの成果を得ます。しかしこのwebサイトの本分は、そういう個別の取組成果以上に、テーマ部会を含む連携活動から生み出された成果を発表していくことにあります。今後の展開としては、共同だからこそ実践・開発できた教育プログラム、この事業から新たに見出すことのできた産学連携のありかたなどの発表に、力を注いでいきます。

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広域・多岐にわたる集団の情報共有を円滑に

九州・沖縄(幹事校:福岡工業大学)

取材対応者: ※写真、向かって左から
川口薫氏@福岡工業大学 FD推進機構FD推進室
渡邊亮太室長@福岡工業大学 FD推進機構FD推進室
山本啓一教授@九州国際大学 法学部


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Q.1 特に工夫された点、心がけた点は何ですか?

A._ 当グループは、九州地区を中心に沖縄と下関を加えた広域なエリアで、しかも23校と多数の、実に多岐にわたる集団です。そのため、初めてこのwebサイトを見る人はもちろん、当事者でさえ、どこに何の情報があるのか分からなくなることがあるほどです。実際に最初の頃は、関係者から電話で問い合わせが来ることも何度かありました。
したがって、一番の留意点は、
-23校、偏りなく、特定の大学の取り組みを強調しすぎない
-23校、その他、関連団体の情報がどこにあるのか見つけやすい
-3つのサブグループに関する情報も、すぐに探せて、内容がわかりやすい
そういう「コンテンツ」であることでした。
これに加えて、「デザイン」と「扱いやすさ」。この3つが大きなテーマでした。

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Q.2 外注と内製の切り分けはどのようにされていますか? また、おおよその予算は?

A._ 当初の構築については、3社コンペで、最終的に、一番意を汲んでくれた企業に発注しました。外注の費用は約75万円でした。
発注内容としては、まず前述の「コンテンツ」の留意点、そして「デザイン」は、シンプルでかつ躍動感のある明るいレイアウトにという要望を出しました。私たちにとっての「扱いやすさ」は、情報を少しでもリアルタイムにアップロードできるように、CMSに対応したwebサイトを構築してもらいました。現在、記事の更新はCMSを用いて担当者が行っています。
扱いやすさは、時間節約だけでなく、経済的効率も図るためにも重視したところです。自分たちで更新できるようなシステムを作ったため、初期費用以外、今のところ、何も新たな費用は発生していません。

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Q.3 特に苦労されている点、改善が必要だと思う点は何ですか?

A._ 苦労している点は、公開する情報の不足に尽きます。
定例会議が月1回のペースで行われるので、それに合わせて「最低でも、1か月に1度の更新」を目標にしていますが、動的な魅力あるwebサイトにするには、より多くの、些細なものも含む情報が必要だと思います。しかし、その集め方に効果的な方法を見出せていない状況です。例えば、参加23校の毎月持ち回りで自校の取組を紹介する記事を書いてもらう、というアイディアを実行するのもいいかと思っています。

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Q.4 今後はどのような運営・展開をお考えですか?

A._ 分かりやすいレイアウトによって、関係者間の情報共有が円滑に進むことを目指しましたが、情報共有やそれに基づく意見交換が十分行われているのか、少々自信がない部分もあります。特に、サブグループをまたいでの情報共有が必ずしもうまくいっていないのではと懸念しています。これについては、webサイトだけが情報共有の方法ではないので、メーリングリストも併用し、月1回の幹事校による会議に加えて、サブグループ単位の会議および泊り込みの研修、23校ならびに協力団体による全体会を、定期的に実施しています。
23校と関連団体が連携するこの事業は、過去になかった試みであり、従来まったく交流のなかった他大学や労働・雇用問題を扱う団体などとの共同の取組が始まるなど、新たな動きを生んでいます。教育・地域にかかわるコミュニティとして、大きな存在に育っていく可能性を秘めた事業だと思いますし、webサイトもその一助となればと願っています。

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