コロナ禍における読者の注目記事ランキング

2019年末に世界最初の感染が報告され、わずか数カ月で世界的な流行となった新型コロナウイルス感染症（COVID-19）。日本では、まず2020年3月上旬から、政府・文部科学省の要請を受けて全国の多くの小中高校が臨時休校した。要請の対象外だった大学も、卒業式・入学式の中止検討、20年度新学期の授業開始に向けての対応などに追われた。さらに4月7日には政府が7都府県に緊急事態宣言を行い、4月16日に対象を全国に拡大することとなる。
このような混乱のもと、キャリアの広場読者がどう反応したのか、その一端が垣間見えるデータとして、コロナ禍期間中の記事閲覧を抽出し、ランキング化した。
※対象集計期間：2020/4/1～2022/9/30

順位	記事タイトル	掲載日
1	【コロナ禍特集】オンライン授業に関する学生の声／反応	2021/2/9
2	【コロナ禍特集】コロナ禍における学生のメンタルヘルスへの取組	2021/6/22
3	約80％の学生が「課題の量」にストレス――関西大学「オンライン授業に対する学生の本音」アンケート調査	2020/11/5
4	コロナ禍は大学休学数より休学理由に影響か――文部科学省調査	2021/2/16
5	【特集】コロナショック下の大卒求人倍率を考える	2020/5/11
6	「まち・ひと・しごと創生基本方針2021」を閣議決定	2021/6/18
7	学生のインターンシップ参加率は79.8％――マイナビ2022年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査（10月）	2020/11/17
8	2021年3月大学（学部）卒の就職内定率は89.5％――大学等卒業予定者の就職内定状況調査（2月1日現在）	2021/3/19
9	【特集】オリエンタルランドの取り組む準社員のキャリア自律支援	2019/10/29
10	2021年3月大学（学部）卒の就職内定率は82.2％――大学等卒業予定者の就職内定状況調査（12月1日現在）	2021/1/15

関心事は「学生の動向」が中心

「コロナ禍特集」は、コロナ禍における各大学の取組を、web上に公表されている情報からテーマごとにピックアップしたもので、2021年1月から12月までに7記事を掲載した。その中で「学生」をテーマとした回が全記事ランキングの1位／2位を占め、「教員の対応」や「入試への影響」（いずれもランク外）に比べてかなり多く閲覧されたことがわかる。3位に関西大学の学生アンケート調査のニュースが入ったことと併せて、コロナ禍という未曽有の事態に際して、学生の動向に対する関心の高さの顕れと推察される。
また、1位～3位の記事は掲載からかなりの時間が経過した後にもよく閲覧されており、「コロナ後」にも学生への働きかけの改善を模索し続ける様子がうかがえる。

2021年3月卒への高い注目

こちらのランキングでもう一つ編集部が着目したのは、8位／10位に入った2021年3月卒の内定率関係のニュースだ。文部科学省・厚生労働省が毎年同時期に調査・発表しているもので、集計期間中には2020年卒／2022年卒の同様のニュースも掲載しており、その中で2021年卒に関するものだけが突出して関心を集めた形となる。これは「コロナ禍元年」の就職・採用状況が特別注視されたということだろう。実際の就職内定率は、10位の「82.2%（12月1日時点）」は前年同時期比4.9ポイント減、8位の「89.5％（2月1日時点」」は2.8ポイント減と、やはりやや下がっていた。

5位に入った2020年5月の編集部記事は、バブル崩壊後やリーマン・ショック時を振り返りながら、コロナショックの新卒就職への影響の見通しを論じたもの。例年4月の下旬にある大卒求人倍率の発表が、2021年卒については大幅に遅れていたため、大きな関心を呼ぶ記事となった。
結果として2020年8月に発表された大卒求人倍率は1.53倍と、前年の1.83倍より0.3ポイントの低下だった。編集部記事の厳しい予測に反し「持ちこたえた」数字となったものの、2022年卒では1.50倍とさらに低下。採用意欲の回復は、1.58倍と上向いた2023年卒を待たねばならなかった。記事にも記したように、大学のキャリアセンターや大学経営者には、卒業後の就職支援や働く意欲の維持といった取組が引き続き求められる。

今後も当サイトでは、読者の興味関心に即した情報収集に努めていきたい。