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大学COC事業の選定結果を見て

2013/09/03  タグ:  

角方正幸(リアセックキャリア総合研究所所長/「就業力の広場」責任者)

今年度から始まる「地(知)の拠点整備事業(大学COC事業)」の選定結果が8月2日に公表された。この事業は多くの大学から関心がもたれ、5月末に締め切られた申請は319件(342大学・短大・高専)と多数に上っていた。
選定結果を見ると、予想どおり地方国立大学の健闘が目立った。設置主体別の大学での採択率を比較すると、国立大学43%、公立大学24%、私立大学8%となっている。今まで多くのGPは設置主体別採択率に大きな格差が生じないよう配慮されたが、今回のこの結果を見ると本事業が改めて地方国立大学の再生事業プランであることが分かる。

伝わりきらなかった「従来のGP事業との違い」

選定結果と同時に選定委員長の所見が公表されているので、改めて選定・評価の基準について考えてみよう。
まず、採択された52件の事業は、

学長の強力なリーダーシップの下で、全学必修科目の新設や大規模な教育カリキュラム・組織の改革など、全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を実施することとしており、どれも自治体との課題の共有・強固な連携関係が認められる。

と評価されている。つまり本事業は、

今までのいわゆるGP事業のように特定のプロジェクトを支援するものと異なり、大学全体として地域志向に取り組むことが必要となる

と所見にもあるとおり、一部の学部や学科の改革ではなく、全学を挙げての事業であるかの姿勢が問われている。
所見は続けて

その趣旨を捉えられず申請された事業も多く見られたのは、残念なこと

と述べている。しかしながら、これは大学側の問題というよりは、事業の趣旨説明を明確に伝えられなかった側の責任だろう。申請に関わった各大学の多くの教員、職員の労力を思うと、このように大規模な事業では、より丁寧な説明の必要があると考える。

就業力育成にも有効な「地(知)の拠点」

話は変わるが、今回採択された大学の顔ぶれを見て気付いたことがある。この「就業力の広場」は2年半前にスタートして以来、就業力育成を先進的に展開している大学の事例紹介を中心に進めてきた。今までに12大学の事例を紹介しているが、そのうち国立大学5校はすべて今回の「大学COC事業」に選定されているのだ。また、私立大学7校の中でもVol.10の松本大学が採択されている。
ここからも、COC事業の目指すところと、就業力の育成とは共通項が多いことが分かると思う。
参考までに、「就業力の広場」事例紹介で取り上げた大学の、「COC事業名称」「就業力育成への取り組み事例」をまとめておく。

秋田大学__ 「一人ひとりを大切にし、自立した高齢者社会に向けた地域づくり」

[Vol.1] 就業力育成を大学改革の根幹に据える

島根大学__課題解決型教育(PBL)による地域協創型人材養成

[Vol.6]現場重視の教育で地域活性化を目指す

小樽商科大学 最低1週間の滞在を目指した総合観光地域の創出(仮称)

[Vol.7]地域を軸に高校/大学/企業をつなぐ

高知大学__高知大学インサイド・コミュニティ・システム(KICS)化事業

[Vol.9]特徴的な長期インターンシップ

松本大学__地域社会の新たな地平を拓く牽引力、松本大学

[Vol.10]地域によって鍛えられる“社会人力”

福井大学__地域を志向して人を育み、地域を活かす福井の知の拠点づくり

[Vol.12]就職率を支える地域連携と学内協力

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